■魔王城が“魂の眠る地”に建てられている謎

 ファンタジー作品における魔王の居城といえば、壮大で邪悪な雰囲気をまとった“魔王城”のイメージがあるが、本作にもそれは存在する。

 大陸の遥か北にあるとされるその場所は、死者との対話がかなうといわれる伝説の地“魂の眠る地(オレオール)”でもあり、現代のフリーレン一行が目指す旅の目的地だ。

 この“魂の眠る地”については、第7話に登場したフランメの手記に記されている。

 フリーレンの師匠であり、1000年前に生きた英雄・フランメ。彼女はその場所について「そこは多くの魂が集まる場所で、私はかつての戦友達と対話した」と書き残している。

 しかし、この手記には魔王城に関する記述がなく、この時点で“魂の眠る地”に魔王の手が伸びていたかは不明である。魔王城が建てられた時期はいつなのだろうか。

 なにより気になるのが、死者と対話できるというこの特別な場所に魔王城が建てられた理由だ。それは単なる偶然なのか、それとも“魂の眠る地”でなければならない事情が魔王にはあったのか……。フリーレンが旅の目的地までたどり着けば、その秘密が明かされるのかもしれない。

 

 魔王の正体は、勇者ヒンメル伝説における核を担う部分といえる。彼らが冒険の最後に戦った魔王は何者で、その決着はどのようなものだったのか。それが明らかになる時、ヒンメルたちが成し遂げた偉業が真に理解でき、後日譚である本編にもさらなる深みがもたらされるはずだ。

 魔王を「どう倒すか?」ではなく「何者だったのか?」を考えさせられる。それこそが、「後日譚ファンタジー」である本作ならではの面白さではないだろうか。

 

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