松本零士さんが手がけた不朽の名作『銀河鉄道999』。本作は、主人公の少年・星野鉄郎と謎の美女・メーテルが銀河超特急999号に乗って宇宙を旅する、壮大なSF作品だ。
1977年の連載開始から長い年月が経った今読んでも、その内容はまったく古臭さを感じさせない。それどころか作中で描かれたさまざまな惑星でのエピソードは、令和を生きる私たちが直面している社会問題を予見していたかのようにも見える。
今回は、現代の私たちが抱えるリアルな問題と見事にリンクしていたように思えた『銀河鉄道999』のエピソードを紹介しよう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■人間が消えても止まらない殺戮兵器…AI戦争のリアルが描かれた「エルアラメインの歌声」
『銀河鉄道999』の数あるエピソードのなかでも、特に読者に強烈なインパクトを与えたであろう回が「エルアラメインの歌声」である。
鉄郎たちがわずか10分の停車時間で立ち寄った星「エルアラメイン」は、かつて激しい戦争が行われていた星だ。しかし、人間はとうの昔に死に絶えており、現在では主を失った無人兵器だけが稼働し続けている。動くものがあれば見境なく攻撃を仕掛けてくる非常に危険な星であり、生命反応を感知された鉄郎とメーテルは無人兵器によって執拗に命を狙われることになる。
命令を下した人間は不在でも、プログラムに従って永遠に殺戮を繰り返す兵器たち。これは、自律型致死兵器システムやAIドローンが実戦に投入されている現代の戦争が持つ、リアルな恐怖と重なる。
エルアラメインでは戦争が繰り返されていたせいか、昔いたはずの生物はすべて風化してしまったという。地球の未来がこのようにならないことを願うばかりである。
■限りある資源を食い潰す人類の業…消滅の危機に瀕した「停時空間のかじられ星」の教訓
「停時空間のかじられ星」に登場する「かじられ星」は、その名の通り誰かにかじられたようないびつな形をしている。
実は、このかじられ星の地面は非常においしく食べられる。鉄郎も「甘いというか、辛いというか、とにかくおいしいや!!」と感激していた。
しかし、そのおいしさに目をつけた他星の人間たちによって地面は削り取られ、かつての美しい球体の原型は失われていた。よそ者たちの果てしない欲望のせいで、星の大部分が消滅してしまったのだ。
このエピソードは、自らの利益のために際限なく資源を搾取し、自然環境を破壊していく現代の地球を映し出しているかのようである。
作中にはこの星を故郷とする戦士が登場するが、削り取られていく故郷を目の当たりにして「かじりとられてなくなりかけている…ふるさとなんて……みじめだぜ……」と、絶望する様子も描かれていた。
このように「かじられ星」のエピソードは弱者の資源を奪う強者の構図を描いており、人類の業の深さをも鋭く指摘しているように見える。


