■すべてが計算され尽くした演技

 その過去を涙ながらに演説で語り、鷹臣本人まで登場して支持を集める決起集会。現段階での票読みは、202万票を獲得すると見られる流星に対し、あかり陣営はたった3票。盤石の基盤を築きながら、茉莉の過去を知る者として心理戦も仕掛けてくる。

 チームあかりが元市長・雲井蛍を副知事候補にスカウトする一方で、流星は着実に支持を固め、連立与党の推薦まで取りつける対比。松下洸平の演技が、ただのライバルを超えた「宿命の対決」を作り上げたのだ。

 毎話、松下洸平の登場で空気が変わる。幼なじみとしての優しさと、野心家としての冷徹さが同居する二面性を、松下洸平は完璧に表現している。あの目で茉莉を見つめるシーン一つ取っても、兄のような温かさと、計算された距離感、そして胡散臭さが混ざり合って胸をざわつかせる。あの腹の底に何かを隠しているような複雑な表情の演技は天才的だった。

 松下洸平の流星は、ただ強い敵役じゃない。壮絶な過去を抱えながら這い上がってきた男の覚悟、鷹臣への恩義と茉莉への想いの狭間で揺れる葛藤、そして常に漂う胡散臭さが、松下洸平の体を通じてリアルに伝わってくる。声のトーン、視線の強さ、かすかな手の動き。すべてが計算され尽くした演技で、第5話で一気に彼の存在がドラマの中心に躍り出た。

 もちろん主人公は、茉莉とあかりだが、油断すれば食われかねない雰囲気がある。それが今の松下洸平だ。

 洸平の「洸」の字は「水が勢いよく湧き立ち、きらきらと光るさま」を意味する。俺は今、松下洸平の演技の勢いに、飲み込まれそうになってる。

 

■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

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松下洸平写真集「体温」
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