■ボスを倒した直後に始まる「死の追いかけっこ」

 瀬名秀明さんのSFホラー小説を原作とする『パラサイト・イヴ』(スクウェア)は、1998年にプレイステーション向けに発売された「シネマティックRPG」だ。

 ニューヨーク・マンハッタンを舞台に、高度な意志を持つ「ネオ・ミトコンドリア」が人類に反乱を起こすという異色のストーリーが展開される。主人公は新人刑事のアヤ・ブレアで、彼女が持つ特殊能力「パラサイト・エナジー」を駆使して戦う。戦略性とアクション性が融合した独自のバトルシステムが特徴だった。

 本作のセーブポイントは、フィールドの各所に設置された「電話機」だ。長い戦闘の合間に電話を見つけては進行状況を保存し、それがプレイヤーにとっての当たり前の行動として刻まれていく。しかし物語最終盤のDay6、巡洋艦内のシーンでは、その「当たり前」に恐ろしい罠が仕掛けられている。

 激しい戦いの末、ラスボス「完全体」をついに撃破。爆発する巡洋艦からの脱出が始まった直後、見慣れた電話機が目に入る。「念のためセーブしておこう」と誰もが思う場面だが、その判断が命取りだ。この電話を調べると「回線が切れてる…!?」というメッセージが出るだけでセーブはできない。そして、そのわずかな時間のあいだにも、倒したはずの完全体が背後から執拗に這い寄ってくる。追いつかれた瞬間、即ゲームオーバーだ。

 「ボスを倒してようやく終わった」という解放感を一瞬で絶望に変えるこの演出は、偽セーブポイントを利用した初見殺しの罠として、今も多くのプレイヤーの記憶にトラウマとして刻まれている。

 

 今回取り上げた3作品に共通するのは、「プレイヤーがほっとした瞬間に牙を剥く」という点だ。セーブポイントへの信頼、ボス撃破後の解放感……そういったプレイヤー心理を逆手にとり、油断を巧みに突くトラップばかりである。そして、いずれもスクウェアから発売されたほぼ同時期の作品である点も興味深いところだ。

 

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