RPGにおいてセーブポイントは、プレイヤーがもっとも信頼を寄せる場所だ。長いダンジョンを踏破した後、手強いボスを倒した後など、難所を乗り越えてからセーブポイントを見つけた瞬間の安堵感は、RPGをプレイしたことがある人なら誰もが知っているはずだ。
しかし時には、その心理を逆手に取った“罠”も存在する。「助かった」と思った瞬間、プレイヤーに牙を剥く、あまりにも巧妙かつ理不尽な“偽セーブポイント”の数々を振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■セーブしようとしたらモンスターが出現!?
堀井雄二さんがストーリー原案、鳥山明さんがキャラクターデザインを担当した『クロノ・トリガー』(スクウェア)は、1995年にスーパーファミコン向けに発売された名作RPGだ。
現代・中世・未来・原始・古代といった異なる時代を行き来しながら冒険する壮大なストーリーが特徴で、ニンテンドーDSやスマートフォン、Steamなど多くのプラットフォームにも移植された「平成の名作」として、今なお高い人気を誇る。
そんな本作のストーリー中盤、「未来」の世界に「地下水道跡」というダンジョンが存在する。強力な装備品「雷鳴剣」や「怒りの腕輪」が眠っているエリアだが、それ以上に印象的だったのが、途中に仕掛けられた凶悪な罠だ。
地下水道跡の特定のフロアには、「音を立てるとモンスターに気づかれて戦闘になる」という特殊なギミックが設定されている。床に落ちているものを調べると音が鳴ってしまうので、プレイヤーはそれらを避けつつ緊張感を保ちながら進んでいく。
そしてようやく通路の終点近くにたどり着くと、通常のセーブポイントとまったく同じグラフィックの光り輝く物体が目に入る。しかし、これこそが罠なのだ。
触れた瞬間、「キラーン」という効果音が鳴り響き、その音を聞きつけたモンスターたちが一斉に集まってきて強制戦闘に突入。当然、セーブ画面が開くことはない。しかもこのエリアの奥には、味方のHPを1にする攻撃を使ってくる手強いボス「クロウリー様」まで待ち構えている。
音を立てないよう慎重に進んできたにもかかわらず、セーブポイントに触れたことで自らモンスターを呼び込んでしまうという皮肉な展開。ボス戦前に消耗させられるこのトラップは、初見プレイヤーを大いに絶望させた。
■セーブするつもりがギルを盗まれ…!?
『ファイナルファンタジーVII』(スクウェア)は、1997年にプレイステーション向けに発売された世界的な大ヒット作だ。壮大なストーリーと個性豊かなキャラクターたちが多くのプレイヤーを魅了し、今でも高い人気を誇る名作である。近年は現行のハードでリメイク版が発売され、現代向けにアップグレードされた映像美に感銘を受けたファンも多いだろう。
本作には、特定の条件で仲間にできるキャラクターが存在するが、その中の1人、ユフィ・キサラギが仕掛ける罠が、プレイヤーの間で語り草になっている。
ユフィは森の中で「謎のニンジャ」として出現し、倒すと仲間にするための会話イベントが始まる。選択肢を間違えると彼女はすぐに逃げ出してしまうため、慎重なプレイヤーほど「失敗する前にセーブしておきたい」という心理に陥りやすい。そこに目をつけたかのように、会話イベント中の画面奥に本物と見間違えるセーブポイントが出現するのだ。
しかし、これを調べた時に表示されるのは、「メニューを開いて『セーブ』を選ぶとゲームの状態を保存できません」というメッセージ。否定形が文末にくる日本語の特性を巧みに利用した見事な罠だ。ふだんからメッセージを読み飛ばし、ボタンを連打する癖がついているプレイヤーは、この「できません」というひと言を見落としてメニューを開いてしまう。その瞬間ユフィに200ギルを盗まれ、そのまま逃げられてしまうのだ。
序盤の200ギルは決して安くない。「ちゃんと読めばよかった」という後悔とともに、ユフィの徹底した盗人魂がプレイヤーの記憶に強烈に刻まれた。


