■安定感抜群の麻酔科医『アンメット ある脳外科医の日記』
看護師役でおなじみの野呂さんが、医師役を務めたのが2024年放送の『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)。子鹿ゆずるさんと大槻閑人さんによる人気コミックを原作とするドラマで、2027年には続編も予定されている作品だ。事故で過去2年間の記憶を失い、さらに新しい記憶も1日で消えてしまうという重い記憶障害を抱えた脳外科医の物語で、杉咲花さんが主人公の川内ミヤビを演じた。
原作では変わり者の天才脳外科医・三瓶友治が主人公だが、ドラマ版はミヤビが主人公に。それにより彼女の葛藤がより深く描かれ、濃密なヒューマンドラマとして高い評価を集めた。
野呂さんは本作で、麻酔科医の成増貴子を演じている。成増は、実力ある医師であると同時に明るく人が良く、周囲を優しく見守るバランサー的な存在だ。
彼女が時折見せるコミカルな言動や温かい空気感は、作品にとって欠かせない要素である。米田孝プロデューサー曰く、難しい役だったが野呂さん以外思いつかなかったという。プロとしての頼もしさと人間味を併せ持つ成増役は、まさに野呂さんにピッタリな役柄だったといえるだろう。
そして5本目は、ひうらさとるさんの同名漫画を実写ドラマ化した『西園寺さんは家事をしない』(TBS系/2024年)。独身のキャリアウーマン・西園寺一妃(松本若菜さん)が、トラブルで住む場所を失ったシングルファーザー・楠見俊直(松村北斗さん)と4歳の娘・ルカを自宅に迎え入れ、次第に心を通わせていくハートフルラブコメディだ。
野呂さんが演じたのは、西園寺さんの親友・宮島陽毬。明るくしっかりものな陽毬は、西園寺さんが素の自分をさらけ出して本音で語り合える貴重な存在。同じく親友の小西洋介(塚本高史さん)とともに、時に鋭く時に温かく西園寺さんの背中を押すその姿は、視聴者から「こんな友達が欲しい」「何かあるとすぐに駆けつけてくれる関係って羨ましい」と愛された。
ドラマのメインストーリーはもちろん、この“幼なじみトリオ”の絡みも楽しみな作品だった。
最後は、やはりバカリズムさん脚本の『ホットスポット』(日本テレビ系/2025年)。市川実日子さん演じるシングルマザーのホテルマン・遠藤清美と宇宙人(角田晃広さん)が繰り広げる、“未知との遭遇”らしからぬ日常のやり取りを描いた物語だ。
舞台は山梨県の富士山の麓にある「レイクホテル浅ノ湖」。壮大なSF展開ではなく、宇宙人との関わりを軸とした生活感あふれる悩みや些細なズレといった、バカリズムワールド全開のシュールでハートフルな人間ドラマが展開される。
そんな本作で、野呂さんは清美の仕事仲間となるホテル清掃員・中本こずえを演じた。しかも、第1話でいきなり客室のテレビを盗んでクビになるという、衝撃の役柄。盗んだことを宿泊客のせいにし、テレビが見つかると自分のだと言い張り、あげく嘘をついて逃れようとするタチの悪さ。さらにドラマ後半に再度登場した際には、清美らの前で怪盗の歌である『CAT'S EYE』を歌いあげるほどの「クセ強キャラ」であった。
野呂さんは『ブラッシュアップライフ』に続くバカリズム作品への参加、しかもバラエティ出身とあって、コミカルな世界観はお手の物。ユーモラスな演技を見事にこなし、作品にスパイスを添えた。
元アイドルの枠を超え、今やドラマ界に欠かせない存在となった野呂佳代さん。安心感を与える温かい人柄と自然体の演技からにじむ不思議な親近感は、多くの視聴者の心を掴んで離さない。今後もその唯一無二の表現力で、幾多の作品に彩りを添えてくれることだろう。
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