■助ける気など毛頭ない「それからな 一歩でも動いたらボン!だ」
ケンシロウの口の悪さと容赦のなさが際立ったのが、牙一族との戦いでのこと。
村が襲われ、マミヤのたった1人の弟・コウが命を奪われた。涙するマミヤを見て怒りに燃えるケンシロウは、牙一族の見張り役のザコを捕らえ、秘孔「新伏免」を突く。そして、「本隊はどこだ 答えんと死ぬぞ」と脅したのである。
それに対し素直に白状したザコだが、ケンシロウは立ち去り際に「それからな 一歩でも動いたら ボン!だ」と、ジェスチャーを交えながら言い放つ。ふざけるなと怒ったザコだが、動いた瞬間、彼の体はバラバラになるのであった。
ケンシロウは「動いたら死ぬ」という事実を一応伝えたものの、はじめから相手を助けるつもりはなかったのだろう。「ボン!」という擬音で宣告をする流れは容赦ないが、相手の死を、ついでのように付け加えた流れは、どことなくユーモラスにも感じた場面である。
■イラ立ちから生まれた冷静なツッコミ「あるのかないのかはっきりしろ」
最後は、物語終盤に飛び出した、ケンシロウの秀逸なツッコミシーンを紹介したい。
「修羅の国編」にて連れ去られたリンを救出するため、海を渡ったケンシロウ。そこでヒゲを生やした怪しいザコを捕まえ、「羅将ハンの居城はどこだ!?」と問いただす。
しかし、そのザコは「しっ知らないアルよ!!」と、特徴的な語尾でしらを切る。その返答にイラ立ったケンシロウが言い放ったのが「あるのかないのかどっちなんだ」という絶妙なツッコミだ。それでもザコは「知らないアルヨ~」と繰り返し、ケンシロウは「どっちなんだ あるのかないのか」と、さらに詰め寄る。
最終的にパニックに陥ったザコは「ないないあるよ」「アイヤ〜〜ないあるないあるないあるない〜〜」という意味不明な絶叫を上げ、北斗神拳の前にあえなく爆死するのであった。
ちなみに、この問答の直後、ケンシロウは自らの目でハンの居城を発見している。結果として、このザコは奇妙な語尾でケンシロウをイラ立たせ、ツッコまれた末に、無駄死にしただけであった。そう思うとなんとも不憫である。
『北斗の拳』ならではの張り詰めた空気感の中で、ケンシロウが時折見せるツッコミシーンは、作品に独特のユーモアをもたらしたと言えるだろう。
新作アニメでは、最新の映像技術による大迫力のバトルはもちろん、こうしたケンシロウの切れ味鋭いツッコミも登場している。こうした場面にも注目しつつ、新たな世紀末伝説を堪能するのも面白い。原作ファンなら「あ、あのツッコミが!」と、思わずうれしくなってしまうはずだ。
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