デビュー戦から圧倒的…“左一本”でも“よそ見”でも勝利をつかむ『はじめの一歩』最強ボクサー・鷹村守の「人間離れした圧勝試合」の画像
『ベストバウト オブ はじめの一歩! ブライアン・ホークVS.鷹村守 WBC世界J・ミドル級タイトルマッチ編』(講談社プラチナコミックス)

 森川ジョージ氏が描くプロボクシングの名作漫画『はじめの一歩』には、人間とは思えないほど強いボクサーが何人も登場する。

 その中でも断トツで「人外」と呼びたくなる男が、鴨川ジムに所属する世界チャンピオン・鷹村守だ。主人公・幕之内一歩をはじめとする他のボクサーたちが霞むほどの強さを誇り、世界の頂点と戦った彼の世界戦の数々は、作中屈指のベストバウトとして呼び声も高い。

 では、世界戦以外での鷹村の試合はどうだろうか。ひと言で表すなら、それは「圧倒的」であり、もはや同じルールで戦うこと自体が反則に思えるほどである。本当に怪物ではないかと思えるような、常識外れの戦いぶりを見せつけることも少なくない。

 そこで今回は、『はじめの一歩』最強ボクサー・鷹村守が見せた、人間離れしすぎた圧勝劇の数々を紹介しよう。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■デビュー戦から圧巻! インターハイ王者を1分足らずでKO

 今や誰もが認める世界チャンピオンの鷹村だが、当然、そんな彼にもデビュー戦があった。その試合は原作では描かれていないが、テレビアニメ版では、鴨川会長に見出された鷹村がプロボクサーとしてデビューするまでのアニメオリジナルエピソード(第76話)があるので紹介しよう。

 もともとは一介の不良として喧嘩に明け暮れていた鷹村。ある日、偶然出会った鴨川源二会長にボクシングの世界を勧められ、半信半疑のまま鴨川ジムに入会する。入会後は、左拳の使い方やフットワークといった基礎練習を徹底して取り組まされた鷹村は、なんとスパーリングを1回も経験しないままデビュー戦の日を迎えることに。

 しかも対戦相手はインターハイで優勝し、プロ転向後も無敗をキープしている有力ボクサーであった。常識では考えられないデビュー戦だが、すべては鴨川の意思だという。

 この理不尽とも思える仕打ちに鷹村は憤るものの、試合が始まるとその考えは一変する。相手の動きを最初は速いと感じたが、実際に動いてみると、自分のほうがはるかに速い。パンチは面白いように見え、試しに放った左ジャブで相手は大きくのけぞったのだ。

 結局、鷹村はインターハイ王者を1分足らずで粉砕し、衝撃のデビューを飾る。この結果を鴨川は予見しており、試合前に「せめて1分はもってほしい」とつぶやいていたという。後の世界チャンピオンが秘めた規格外の素質を、鴨川は誰よりも早く見抜いていたわけだ。

■鮮烈な世界へのアピール! 左一本で挑戦者を圧倒

 デビュー戦から無敗のまま日本ミドル級チャンピオンに上り詰めた鷹村は、第233話でついに世界タイトルの前哨戦への切符を手にする。念願の目標が見えてきたことで心を高ぶらせた鷹村は、自分の実力を世界に示すため、直近の日本タイトル防衛戦で「あるパフォーマンス」を実行に移す。

 日本ミドル級2位の実力者を相手に、鷹村は左ジャブを繰り返す基本に忠実なボクシングを展開する。その丁寧な左ジャブの差し合いはハイレベルだが、いつもの豪快な鷹村らしくない。しびれを切らした観客が「右を使え!」と野次を飛ばすが、鷹村はひたすら左ジャブを打ち続ける。

 やがて、会場の全員が異変に気づく。鷹村は右拳をいっさい使わないまま、いつの間にか一方的に相手を追い詰め、ついには左ストレートで挑戦者をリングに沈めてしまったのだ。“左一本”で完全勝利を果たした鷹村は、ゴングの音とともに左手を小さく挙げてみせた。

 この鷹村のパフォーマンスに対し、鴨川の親友・猫田銀八は「左を制する者は… 世界を制す!!」というボクシングの格言を送る。ボクシングの基本である左をハイレベルにこなせることを見せつけ、世界に向けて自身の実力をアピールすることが鷹村の真の狙いだったのだ。

 ただ豪快で力強いだけではなく、鴨川に叩きこまれた基礎技術もまた人外レベル。それこそが、鷹村の真骨頂といえよう。

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