■新谷かおるが描く、美形キャラのとりこに

 『ファントム無頼』は戦闘機のかっこよさに惹かれましたが、続いてハマった『エリア88』では、多彩な美形キャラたちに魅了されます。

 荒くれ者だらけの外国人部隊では、まず主人公のシンがなにより美形。ミッキーは陽気なハンサムで、アスラン王国の第2王子リシャールは母譲りの美貌の持ち主です。

 そんな中、自ら額に罪の刻印を刻んだ悲劇の第1王子こと、エリア88のサキ・ヴァシュタール司令が私の“推し”でした。

 また新谷作品には「麗しの女装男子」が多く登場し、女性ファンをとりこにします。

 たとえば『ファントム無頼』の栗原は頭脳明晰で普段はクールなのに、女装すると絶世の美女に。他にも『エリア88』に登場するエラーや、『ダブル・ニッケル』で口ひげを生やしている将軍なども同様で、新谷作品ならではのファンサービスに感じました。

 ちなみにこの件について、新谷先生が原作を担当する『DRAKEN・CODE 訳ありの竜と呪われた姫』(2024年)で作画を担当する大北真潤先生も「ところで新谷作品は美しい女装男子がよく出てくるらしいっ」と、キャラクターを使って言及しています。

 もちろん新谷先生(と新谷夫人)の描く美しい女性キャラクターも魅力にあふれています。『エリア88』だと、ミッキーと恋仲になった凄腕パイロットのセラ、シンの恋人・涼子を支える安田妙子、佐伯先生が作画を担当していた重要キャラのジュリオラ・エッティなどの人気が高かった印象です。

 また作品は違いますが、オートバイレースを描いた『ふたり鷹』の“緋沙子母さん”こと沢渡緋沙子も女性読者から支持されていました。

 緋沙子は主人公・沢渡鷹の母親で、タイトスカートで大型バイクを乗り回し、英語やフランス語もペラペラ。医師だった夫を亡くしてからは、トラックドライバーとして必死で働き、母親としてのあり方を助言されると一念発起して苦労の末にカリスマ美容師になる、昭和には珍しい先進的な女性でした。


 2015年の夏に開催された「コミックマーケット」は通算“88回"を記念して、カタログなどの表紙を『エリア88』のシンとミッキーが飾り、SNSを中心に多くのファンが盛り上がりました。

 それから2年後の2017年4月26日。66歳の誕生日を迎えた新谷かおる先生は、自身のSNSで『クリスティン・ロンドンマップ』の最終回脱稿を区切りに休筆を発表されました。

 現在は新谷先生が原作を手がけ、大北真潤先生が作画を担当する『DRAKEN・CODE 訳ありの竜と呪われた姫』に取り組まれていますが、コミックス1巻には新谷先生の貴重な描きおろし“番外編”も掲載。昭和から新谷作品に魅了されてきた1ファンとして、これからも先生が携わる作品を追い続けたいと思います。

 

■新谷かおるの傑作『エリア88』をチェック

Kindle『エリア88』
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