■時の最高戦力をいとも簡単に手放した判断はいかに

 頂上戦争後の海軍では、組織の根幹を揺るがす事態が発生する。それは元帥センゴクの退任に伴う、後継者争いである。

 “青キジ”クザンと、“赤犬”サカズキの両大将が、次期元帥の座を巡って激しく対立。パンクハザードにて十日十晩に及ぶ死闘を繰り広げた。

 この決闘はサカズキの勝利に終わり、彼が新元帥に就任したが、敗れたクザンは海軍を去ることとなった。海軍大将だったクザンの脱退は、組織にとって計り知れない損失である。ヒエヒエの実の能力者として最高戦力の一角を担い、数々の海賊を捕らえてきた彼の実力の高さは言うまでもない。

 この問題がさらにやっかいなのは、脱退後のクザンが黒ひげ海賊団と行動をともにした点である。

 いまだクザンの真の思惑は謎に包まれているが、海賊島ハチノスに現れたガープを捕らえるなど、海軍にとってマイナスに見えるような行動をとっている。

 かつての海軍大将が四皇の傘下に入るという前代未聞の事態は海軍の威信を大きく傷つけるものであり、組織のいざこざがきっかけで戦力低下につながったという見方もできるだろう。

■エッグヘッド島へのバスターコール失敗

 比較的最近のエッグヘッド編でも、海軍の失態が見られた。世界の真実を知ったDr.ベガパンクと、それに関係する者たちの殲滅を狙ったバスターコールが発動されたが、結局ベガパンクが事前に用意していた世界の真実にまつわる情報が世界中に発信され、作戦は失敗に終わる。

 このバスターコールは、五老星ジェイガルシア・サターン聖が大将の“黄猿”ボルサリーノに命じ、海軍の多くの軍艦が参加した非常に大規模なものであった。しかし、作戦は想定外の事態に見舞われる。

 ニカの力に覚醒したルフィが大暴れし、麦わらの一味を完全に取り逃がしてしまう。エルバフから、ドリーやブロギーら巨兵海賊団の援護があったとはいえ、圧倒的な戦力を投入しながら海軍はルフィたちの捕縛に失敗。バスターコールは不完全燃焼に終わり、海軍の作戦遂行能力に疑問を抱かせる結果となった。

 そしてなにより、ベガパンクが発したメッセージによって、世界政府と海軍の秘密が世間に暴露されてしまったのは大きすぎる失態である。

 いろいろイレギュラーな事態が起こったにせよ、海軍と五老星といった政府を代表する戦力がそろいながら、このような失態を招いてしまったことは、海軍という組織の力の低下を感じさせるものだった。


 かつては作中でも圧倒的な存在に思えた海軍だが、最近の様子を見ていると低迷すら感じてしまう。バギーを擁するクロスギルドの懸賞金制度によってTボーン中将が殉職。四皇勢力が拡大して革命軍が台頭するなど、海軍を取り巻く環境はさらに厳しさを増している。

 今後、海軍は組織改革を遂げて往年の力を取り戻せるのか、あるいは新時代の波に飲み込まれるのか……物語の行方とともにその動向にも注目したいところだ。

 

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