森川ジョージ氏による大人気ボクシング漫画『はじめの一歩』。本作は、主人公・幕之内一歩だけでなく、脇を固める彼のライバルや鴨川ジムの仲間たちにもスポットを当てる点が大きな特徴である。
筆者がとりわけ愛着のある大好きなキャラといえば、一歩の先輩である青木勝だ。ふだんは「ギャグキャラ」としての地位を確立している彼だが、実は多彩な才能の持ち主で、ストーリーを盛り上げる重要な存在なのだ。
今回は、そんな青木の奥深い魅力をじっくり掘り下げて紹介していこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■まさに策士! 多彩な技で相手を翻弄する曲者ボクサー
青木は相手を翻弄する数多くの技を持つが、その代名詞といえる必殺技が「カエルパンチ」である。
深くしゃがみ込んで相手の視界から消えると、カエルのように飛び跳ねながらアッパーを放つ変則的な技だ。この技が相手に研究されると、今度は横に飛ぶ動きを入れてフェイントに使うなど応用力の高さも見せている。
また、恋人・トミ子との同棲中に思いついた「よそ見」も凄い。試合中に突然視線をそらすことで、相手は釣られて青木の見る方向を意識してしまう。その隙を突いて攻撃に転じる奇想天外な戦法なのだが、これが「嘘でしょ!?」というほど効果を発揮するのだ。
さらに、防御姿勢から攻撃に転じる「ベルツノ」という技もある。青木が急にしゃがみ込んで丸くなると、相手は何が起こるのか分からず、思わず様子をうかがおうと覗き込んでしまう。これこそが青木の狙いであり、その近づいた瞬間を「カエルパンチ」で急襲するのだ。
この技は、あの鷹村守でさえ固唾を呑むほどの緊張感を生み出したが、あまりに動かないことからレフェリーに減点を取られるという“お約束展開”もまた、青木らしいといえるだろう。
極めつけは「死んだふり」だ。わざとダウンすることもあれば、膝をカクカクと揺らしてダメージがあるように見せかけるなど、演技力も卓越している。
これらの奇策で相手を惑わす姿は、ボクサーというよりもはやマジシャンだ。相手を翻弄する曲者ボクサー、それが青木という男なのである。
■ボクシングだけじゃない! 意外な分野で発揮される非凡な才能
作中、青木はボクシング以外の分野でも非凡な才能を発揮している。その1つが、アルバイト先でのラーメン作りだ。
彼が作るラーメンは誰が食べてもうまいと評判で、そのレシピが店の人気を支え、なんと3号店まで出店するほど成功を収めた。ちなみに青木は、そのうちの一軒を任されている。
また、ボウリングでは「ノーミスの青ちゃん」の異名を持つほどの実力者であり、野球においては甲子園出場選手たちに負けを認めさせるほどの腕前を披露。
ラーメン作りにボウリング、野球のセンスが本業のボクシング以上にチャンピオン級なのも青木らしくユニークで面白い。
さらに、試合に敗北し、鷹村に罰として相手選手と同じ奇抜な髪型にされてしまったのだが、これがブロッコリーに似ていたことから「ブロッコマン」としてCMに出演。全国のちびっ子たちの人気者になるという予想外の展開も見せた。
また、結果が必ず反対に出るトランプ占いも得意としている。そういえば、恋人のトミ子はタロット占いを得意としていることを考えると「占い」という共通点を持つお似合いのカップルといえるだろう。
青木とトミ子との恋愛シーンはギャグとして描かれることが多いものの、青木を献身的に支える彼女の思いやりは多くの読者に感動を与えている。そんな彼女を選んだ青木は、“女性を見る目”もたしかなようだ。


