仲野太賀主演の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。今回は、これまで怒涛のように駆け抜けた3か月間、特に印象に残ったシーンをピックアップしてみたい。
まずは「徳川家康」という人物だ。
戦国三英傑を表している有名な川柳では、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の織田信長がいちばんヤバい存在で、比べて「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の徳川家康は、気が長く良い人に思える。しかし、“家康は、誰よりも極悪非道で冷酷なたぬきオヤジだった”という説も。どうやら今作『豊臣兄弟!』での家康は、そちら側のイメージに沿ったキャラクターを作っていくようだ。
『豊臣兄弟!』に、家康が初登場したのは、第3回の「決戦前夜」。NHK大河ドラマにおける家康といえば、『どうする家康』の松本潤や、『青天を衝け』の北大路欣也、『おんな城主 直虎』の阿部サダヲなど、どちらかといえば丸顔で、顔の濃い役者陣が演じる印象が強かった。
しかし、今回演じている松下洸平は、塩顔でシュッとしたビジュアルの持ち主。最初は、「家康っぽくないなぁ」と感じていたのだが、だんだんと「意外とハマっているかもしれん!」と思うようになってきた。
それはこんな一幕からも。
今作の家康、藤吉郎(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)からアドバイスを求められた場面では、かなり真剣に返事をしてあげていた。なので、「なんだ、優しいじゃん!」と見直していたら……! なんと二人が帰ったあと、「すべて逆のことを言うてやったわ〜!」とのたまうではないか。そのケラケラ笑っている様子に、ゾワッとした。ニヒル強めの家康像を、これからさらに松下洸平がどのように調理していくのか楽しみだ。
■『部屋とYシャツと私』に登場する“あのネタ”を実行しようとする寧々様
次に紹介したいのはこのシーン。
第12回「小谷城の再会」で、藤吉郎が京で女遊びをしていたことが、寧々(浜辺美波)にバレてしまう。そもそも、戦国時代の武将たちは、正妻のほかに側室を持つのが当たり前とされていた。だから浮気という概念はないものだと思っていたのだが、ほかの女にうつつを抜かしたら、やはり正妻からキレられてしまうらしい(遊びではなく、側室ならいいんですかね)。
ただ、寧々が藤吉郎の女遊びを知ってしまった理由って、“告げ口”なんですよ。いや、わたしも、親友の彼氏or夫が浮気していると知ったら、黙っていることはできない。大事な親友が、のちのち傷つくことになったらイヤだし。
でも、寧々に告げ口をした前田利家(大東駿介)は、藤吉郎とは犬猿の仲で、妻のまつ(菅井友香)も、寧々とはいつもマウント合戦を繰り広げている間柄。つまり、利家とまつは二人の仲を悪くしようとして告げ口をしたわけで。ちょっと、ひどい。その後、まつは、なんだかんだで寧々のことを心配していたけれど、「いや、発端を作ったのはおまえやぞ!」と思ってしまった。
しかしながら、いちばんの“悪”は女遊びをした藤吉郎だ。寧々は、まつにどれだけ煽られても、「わたしという女房がいながら、女遊びなんてしませんよね」と自分に言い聞かせていたというのに。「京のしきたりは、わしには合わんでのう。だから、京女も好きじゃない。ただの遊びじゃ!」と弁明されても、「こっちはその“遊び”がイヤなんじゃ!」と寧々のマブダチ目線でプンプンしてしまった。
一方で、「わたしも一緒に怒りに行こうか!?」と言いたくなるほど、寧々のことを心配していたわたしだけれど、どうやらその必要はなかったみたいだ。
なんとその後、寧々は藤吉郎の前に毒薬を置き、「先ほど、あなたが飲んだお酒に入れました。あなたを殺して、わたしも死にます」と言い出した。この瞬間、「平松愛理の『部屋とYシャツと私』のネタを本当に実行する人っているんだ……」と思ったのは、わたしだけではないだろう。
全力で焦る(そりゃ、そう)藤吉郎を見て、申し訳ない気持ちが湧いたのか、寧々は「ウソじゃ」とネタバラシ。この世には、ついていいウソとついてはいけないウソがある。今回は、確実に後者だ。エイプリルフールだとしても控えたほうがいいレベルのウソで、タチが悪い。
まあ、さすがの寧々でも、毒を盛ったりはしないか〜とホッとしていたら、「本当はそうしようと思ったけど、できんかった」と言い出したので、「……しようと思ってたんかい」と心の中でツッコミを入れてしまったこのシーン。藤吉郎、これから女遊びをするときは“命懸け”でしなければなりませんよ。


