予想できなかった! バトル漫画に登場した「格上の敵に一泡吹かせた胸熱展開」『ドラゴンボール』クリリンVSナッパに『ダイの大冒険』ポップVSバーンも…の画像
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』第2巻 [Blu-ray](エイベックス・ピクチャーズ)

 「どうせ勝てないのに、なぜ戦うのだろうか……」読者としてそう思いながらも、作品から目が離せなくなる瞬間がある。

 漫画やアニメの世界には、圧倒的な実力差がある相手を前にしても、なお全力で立ち向かうキャラクターたちが存在する。勝ち目などほとんどなくても、彼らは決して諦めない。その奮闘が、時に格上の敵を本気で驚かせる瞬間へとつながっていく。

 「こいつ、やるじゃないか!」強者にそう思わせた瞬間は、読者にとっても忘れられない“胸熱シーン”として記憶に刻まれる。それは、単なる勝敗を超えた「何か」を見せてくれる、名作ならではの演出といえるだろう。

 今回は、そんな「格上の相手を驚かせた善戦」が描かれた名シーンを3つ厳選し、振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

 

■格上の敵をビビらせた一撃…『ドラゴンボール』クリリンVSナッパ

 1984年から1995年にかけて連載された鳥山明さんの『ドラゴンボール』。その「サイヤ人編」で、地球に襲来した侵略者たちは、Z戦士たちを圧倒的な実力差で次々と追い詰めていった。天津飯、ヤムチャ、餃子(チャオズ)……仲間たちが次々と倒れていく絶望的な状況の中、クリリンもまたサイヤ人のナッパを相手に、勝ち目のない戦いを強いられることとなった。

 しかしクリリンは、ただ力でぶつかることをしなかった。天津飯が一撃で腕を失うほどのナッパの破壊力を目撃していたこともあり、まともに打ち合うことを最初から避け、機動力で勝負を挑んだのである。

 素早い身のこなしでナッパを翻弄し続け、敵であるベジータからも「動きだけはなかなかのものだ」と評された。ナッパ自身も、ちょこまかと動き回るクリリンに苛立ちを見せていたほどだ。

 そして迎えた、この戦闘最大の見せ場。クリリンが気を右手に溜め、ナッパに向けて放ったのが必殺技「気円斬」だ。手のひらから円盤状に練り上げた鋭い気を放ち、あらゆるものを切り裂くこの技は、格上の相手であってもダメージを与えられる可能性を秘めていた。

 技を軽く見て受けとめようとしたナッパに対し、その危険性を瞬時に察知したベジータが思わず「ナッパよけろーっ!!!」と叫んだ。

 結果としてナッパは間一髪で回避したものの、気円斬は彼の頬をかすめ、背後の岩山を真っ二つに切り裂いた。ベジータの反応を見るに、もしも直撃していればナッパを倒せていた可能性が高い。

 あれだけプライドの高いサイヤ人の王子が、格下と見下していた地球人の技に警告を発せざるを得なかった。それこそが、クリリンが格上の敵を本気で脅かした証だ。

 勝利には至らなかったものの、冷静な戦術眼と独自の技で最強クラスの敵に肉薄した、まさに善戦の象徴ともいえるシーンだった。

■魔法使いの覚悟が大魔王を追い詰めた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』ポップVSバーン

 1989年から1996年まで連載された『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二さん、原作:三条陸さん、作画:稲田浩司さん)において、大魔王バーンは物語最強の敵として登場する。攻撃・防御・呪文を同時に繰り出す奥義「天地魔闘の構え」を持ち、あらゆる攻撃を無効化するその強さは読者に絶望感を与えるほどだった。

 その無敵の奥義に挑んだのが、魔法使いポップだ。彼は師匠マトリフ譲りの、異なる呪文を同時に放つ「同時呪文(マルチスペル)」を実戦で成功させ、バーンに「器用な事をする小僧だ」と言わしめた。さらに、ハドラー親衛騎団のオリハルコンの戦士・シグマから託された「シャハルの鏡」で呪文を跳ね返し、自らが囮となって主人公・ダイに攻撃するチャンスを作り出したのである。

 そして、あの名ゼリフが生まれる。バーンを前にしても決して諦めないポップは、こう叫んだ。「一瞬…!! だけど…閃光のように…!!!」「まぶしく燃えて生き抜いてやるっ!!!」と。その言葉は、絶望的な状況でも抗い続ける人間の底力そのものだった。

 ポップはその覚悟を、言葉だけでなく行動で証明した。追い詰められたバーンが放った渾身の必殺技「カイザーフェニックス」を、それまで何度もその身に受け続けたことで、ついにコツをつかみ、魔力を帯びた指先で引き裂いて消滅させたのである。魔界の神であるバーンが、初めて人間を前にして驚愕と焦りが入り交じった引きつった表情を見せた瞬間だった。

 「おまえは昔から天才だよっ!! ポップ!!!」親友であるダイのその叫びが、ポップの成し遂げた偉業のすべてを物語っていた。

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