■映像化で大化けした衝撃作『あかね噺』

 ふたつめの作品は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載中の『あかね噺』。幼い頃から噺家の父・阿良川志ん太の落語に魅せられていた桜咲朱音が、落語界の最高位・真打を目指す物語で、累計発行部数300万部を突破した人気作。笑福亭鉄瓶さん、三遊亭王楽さんらが作品の感想を語るなど、実際の落語家たちからも高い評価を得ていた。

 そのアニメの第1話では、父・阿良川志ん太が落語の昇進試験で不合格となり、その6年後、娘である桜咲朱音が落語界の頂点を目指すことを決意するまでが描かれた。

 落語という一見すると、映像として地味に映りそうな題材に思えるが、試験の高座へ向かう緊張感や、マクラで客席をつかめない焦り、そこから演目へ入っていく熱量までが精密に描かれている。その圧巻のクオリティに、SNSでは「完璧な1話」「劇場版レベルの絵と動き!」「衝撃的な始まり方だ」など称賛の声があがった。

 また、アニメでは落語監修として林家木久彦さんが参加。主人公役の永瀬アンナさんや、練磨家からし役の江口拓也さんらキャストも、林家木久彦さんの指導のもとで稽古を重ねてきたことを明かしている。実際の演目シーンでは身振り手振り、サゲに向かうまでの声色、心象風景のエフェクトなども相まって、躍動感あふれるシーンとなっていた。

 YouTubeでは、声優が実際に落語の稽古に挑む「メイキング~落語稽古篇~」や、アフレコ後の裏話を語る「アフレコ楽屋ばなし」も公開されており、本編外からも作品づくりの熱量が伝わってくる作品だ。

■戦うのは拳ではなく、自身の話術『日本三國』

 次に紹介するのは、松木いっかさんの同名漫画が原作となった『日本三國』。連載時から高い評価を得ている本作は、春アニメのなかでもとりわけ注目を集め、YouTubeの予告編のコメント欄でも大きな期待が寄せられていた作品だ。

 舞台となるのは、文明が崩壊し、日本が三つの国に分かれた近未来。アニメの第1話では、物語の主人公・三角青輝(みすみ・あおてる)と、その妻の東町小紀(ひがしまち・さき)が登場し、喧嘩っ早い小紀と、理屈屋の青輝による仲むつまじい様子が描かれた。

 しかしその後、妻の小紀は政府への反発を理由に、国の実質的な支配者である平殿器(たいら・でんき)らによって無惨にも斬首されてしまう。怒りに身を任せて暴発しそうになった青輝だったが、生前の妻の言葉を思い出して堪え、自身の弁舌をもって平殿器を感心させることとなる。

 1話から巻き起こった、あまりにも凄惨な展開に、SNSでは「嫌な予感しかしなかったよ」「胸くそすぎてキッツい…」という声が上がる一方、最愛の妻を亡くしながら復讐を我慢し、冷静に己の言葉で戦うという流れに「まともな精神じゃない」「とんでもないアニメ始まったな」と絶賛の声もあがった。

 情報戦を繰り広げながら、戦況を動かしていく知略バトルが本作の特色でもあるが、実写映像をもとにしたロトスコープを思わせる手法や、文字だけで心理描写を表現するなど挑戦的な試みも用いられ、映像面でも視聴者を引き付けた。事前の期待を超える反響が寄せられ、春アニメの中でもさらに話題を集めそうな作品だ。

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