■描かれているもう1組の「きょうだい」

 この兄弟の最大の魅力は、互いの得意分野が違いすぎて役割分担が明確なことにある。藤吉郎は外で派手に暴れて道を切り開き、小一郎は裏で調整してまとめ上げる。農民出身で政敵になる心配がなく、生涯妬み合わず補佐に徹した結果、天下統一という奇跡を成し遂げた。

 そしてもう一方で、物語の最重要人物となっている織田信長(小栗旬)。この信長の兄妹関係も見逃せない。信長と、宮﨑あおい演じる妹のお市。信長は弟の信勝を政略的に殺してしまったトラウマを抱えていて、人間不信気味で孤独な部分がある。そんな信長の本音を唯一吐露できる相手が、妹のお市なのだ。

 信長の周りには正室や側室はいっさい登場せず、プライベートでは決まって信長とお市が二人きりで本音を語り合うシーンが多い。制作側も意図的に「信長の孤独」を強調するために、お市だけを信長の心の支えとして描いているという。この信長とお市の関係が豊臣兄弟との対比として描かれているのだ。

 秀吉・秀長は父不在で兄弟が力を合わせて這い上がる「光」の絆。一方、信長はお市が浅井長政(中島歩)の元へ嫁いだことで唯一の理解者を失い、さらに孤独を深めていく「闇」の部分が強調される。このまったく正反対の「きょうだい」の対比が面白すぎる。

 ドラマはまだまだ中盤、これからどんな展開になっていくのか。予想もつかない。私は「信長が寺で死ぬ」こと以外、ほとんどなにもわからない。歴史オンチで良かった。

 

■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

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