■謎に包まれた20か月の奇跡「ポートガス・D・ルージュ」

 エースの実の母親であり、海賊王ゴール・D・ロジャーの恋人だった「ポートガス・D・ルージュ」は、わずかな回想シーンにのみ登場する儚い登場人物である。しかし、彼女が起こした“奇跡の偉業”は、作中において最も不可解な謎の1つとして残り続けている。

 それは身ごもったルージュが、20か月間もお腹にわが子を宿し続けたという事実である。通常の人間の妊娠期間は10か月ほどだが、彼女はその倍の期間、意志の力で出産を遅らせ、エースが生まれた後に命を落とした。

 当時、世界政府はロジャーの縁者を抹殺しようと、バテリラ島で妊婦や新生児を徹底的に調査していた。その追跡から逃れるための命がけの行動であり、ルージュの愛が成した奇跡ともいえるが、医学的には考えられない現象である。

 では、なぜルージュにそれが可能だったのか……。1つ可能性として考えられるのは、彼女が「Dの一族」であることだ。作中には「Dの意志」という言葉があり、特別な存在であるのは言うまでもない。そのあたりが作用して、常人に不可能な奇跡を起こした、というのはさすがに考えすぎだろうか。

 ほかにも「彼女の特殊な能力」「悪魔の実の力」、あるいは「Dの一族の女性だけが持つ明かされていない特性」など、ファンの間では彼女の謎についてはさまざまな説が提唱されている。

 加えて、ルージュ自身の過去が一切描かれていない点も、考察の余地を残す大きな要素だ。ロジャーはDの一族だが、ルージュもまた「ポートガス・D」の名を持つ別の一族なのだとすれば、何か重要な意味を持った一族である可能性も否定できない。

 現在連載中のエルバフ編でも、ロビンと関係の深い学者がDの一族であることが判明するなど、過去の登場人物が、実はDの一族だったというケースも見られる。

 そう考えると、ルージュにも「ロジャーの妻」や「エースの母」という関係以上の運命的な何かが存在したとしても不思議ではない。最終章において、Dの一族の真実が明かされる時、ルージュが起こした奇跡の意味も明らかになるのだろうか。


 今回は1話限りの登場や、短い回想での登場ながら、謎めいたキャラたちを振り返ってみた。この他にも、ルフィの故郷フーシャ村の村長ウープ・スラップ、マキノの子どもの父親の正体、ゾロの幼なじみ・くいなの死の真相など、読者からすると、いまだに謎だったり、釈然としなかったりする部分も数多く存在する。

 物語は最終章に突入した今、これらの気になる描写について答えが出されるのか、あるいは永遠の謎として残ってしまうのか、最後まで目が離せない。

■ヒグマの疑惑のシーンを再度チェック 
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