尾田栄一郎氏が描く大人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)は、連載開始から四半世紀以上が経過した今もなお、世界中のファンを魅了し続けている。
その長い物語の中では主要キャラクターたちの活躍が描かれ続ける一方、たった1話、あるいはごく短い出番にもかかわらず、読者の記憶に強烈な印象を残したキャラクターもいる。
それだけの存在感を示したキャラだけに、「何か裏があるのでは…!?」と読者が想像力をかき立てるのも致し方ないことだろう。そこで今回はわずかな登場ながら、ファンの間でさまざまな考察が絶えない、意味深なキャラたちを振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■異色の1話完結エピソードが生んだ謎多き存在「ガイモン」
1話だけ活躍が描かれた印象深いキャラの筆頭として名前があがりそうなのが「ガイモン」ではないだろうか。
まだグランドラインに入る前の「東の海編」で、ルフィたちが立ち寄った珍獣たちの住む島で出会ったガイモンは、作中屈指の異色なキャラクターといえる。空の宝箱に体がすっぽりハマり、そのまま20年間を過ごしたという衝撃的なエピソードとビジュアルは、当時の読者に強烈なインパクトを与えた。
またガイモンのエピソードが特異なのは、物語本筋との関連性が極めて薄いにもかかわらず、本作の“世界の本質”に触れる要素を含んでいた点だ。
宝を追い求めながら結局は空っぽだったという点は、物語の根幹となる「ワンピースとは何か?」という問いを、連載初期の段階で読者に投げかけているようで意味深である。また、このエピソードの中でガイモンは「“ワンピース”はお前が見つけて世界を買っちまえ」という、まるで「ワンピースが何か」を知っているかのようにも聞こえるセリフも残していた。
さらに驚くべきは、ガイモンがバギーと互角に渡り合ったという事実。バギーは後に王下七武海、さらにはクロスギルド創設により四皇の座にまで上り詰める人物である。
それが明かされたのは本編ではなく、扉絵連載の「バギー一味冒険記」の中でのこと。そこではピストルを手にしたガイモンから、涙目で逃げるバギーの姿が描かれていた。バギーの戦闘力は新世界の怪物たちほどではないが、それでも悪魔の実の能力を持った後の四皇である。それに堂々と立ち向かったガイモンの実力がどれほどのものなのか、非常に気になる描写だ。
その後ガイモンは、第620話の扉絵にも登場。自らと同じように樽にハマったサーファンクルという可愛い恋人ができたことが描かれている。そして時が流れたエッグヘッド編の1119話では、世界に向けてのベガパンクの放送を聴いているガイモンとサーファンクルの姿も描かれた。
メインとなるエピソードはたった1話だけだが、物語の核心に触れるようなセリフを残し、強者とのバトルが描かれ、謎めいた島を今も守り続けるガイモンは、やはり異質な存在といえる。今後、ガイモンがメインストーリーに絡んでくる展開はあるのだろうか。


