『ろくでなしブルース』最強じゃない…けど熱い! 中田小兵二に大橋&武藤の留年コンビら、名脇役が超頑張った逆転エピソードの画像
アニメ『ろくでなしBLUES』(C)東映・集英社・東映アニメーション (C)森田まさのり/集英社・東映アニメーション

 1988年から1997年の長きにわたり『週刊少年ジャンプ』人気をけん引した『ろくでなしBLUES』(集英社)。森田まさのりさんが生み出した本作は、主人公の前田太尊を筆頭に鬼塚や川島、薬師寺に葛西といった最強の不良たちが繰り広げる激闘と、拳を通して築かれていく友情、そして夢へと向かう情熱など、思わず身を乗り出すほどの熱量の高さが魅力の1つだ。

 しかし、本作の熱さは強者だけが生み出すものではない。物語の中では時折、いぶし銀の脇役たちが奮闘する場面も描かれる。そして仲間のため、自分のために立ち向かう彼らの姿もまた多くの読者の胸を熱くしてきた。今回は、そんな奮闘姿を振り返ってみようと思う。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

■読者人気も高い!? 弟のために人肌脱ぐ小兵二軍団の総帥・中田小兵二

 まずは、自称・帝拳高校番長であり、小兵二軍団のリーダーである中田小兵二から。ビッグマウスで少々自意識過剰なところはあるが、「金持ちは親であって俺じゃねえ」と言い切ったり仲間のために敵陣へ乗り込んだりと随所で漢気も見せてきた。さらに運動神経もよく、鬼塚の子分数人を1人で倒すなど実力もそれなりに高い。

 コミカルで放っておけない愛すべき男・中田小兵二。ギャグ要因としてメインで登場することも多いものの、作中では、そんな彼がまじめで優しい優等生の弟・三兵太のために奮闘する姿が描かれている。

 野球が好きな三兵太は帝拳高校入学後、エースの吉野に憧れて野球部に入りたがったが、小兵二は反対していた。実は小兵二はかつて野球部に所属しており、ミスで吉野の完全試合を消してしまったことをきっかけに大揉め。一球勝負で決着をつけることになるも完敗し、プライドを折られて退部していたのだ。

 事情を知った三兵太は兄の名誉を挽回するために野球部へ入部を申し出るが、部員たちはタバコを吸いながら兄を引き合いに挑発した。小兵二もきたことで場はたちまち荒れたが、様子を見に来た太尊の提案で三兵太の入部をかけた一球勝負が行われることに。

 さらにはそこに教師が現れ、喫煙をかばった三兵太が謹慎処分を受けてしまう。怒る小兵二に対してバツの悪そうな表情を見せる吉野。太尊は同情で負けるような真似はするなと釘を刺すのだった。

 かくして、小兵二と吉野は過去と同じ構図で向き合う。「シュートしか打たない」と宣言する吉野の球を、小兵二は祈るようにフルスイング。その瞬間、ボールは大きな放物線を描いて彼方へと飛んでいった。 

 三兵太は晴れて野球部員となり、小兵二は吉野からの「帰ってこいよ」の言葉に「番長にスポーツは似合わねーよ」と笑ってみせる。ふだんは頼りないが、弟の願いをかなえるために過去を乗り越えた、兄としての優しさと不器用な愛情が伝わる心温まるエピソードである。

■部のため友のため…拳に想いを込めた大橋英和&武藤章圭

 続いては、ボクシング部の大橋英和と、応援団の武藤章圭のエピソード。2人は過去に部の抗争で衝突し、その後に意気投合。仲良く留年までしているという名脇役コンビだ。ケンカの戦力として最前線に立つようなレベルではないが、2人の名場面が描かれたのは、横浜帝拳高校ボクシング部との対抗試合である。

 試合を間近に控えたある時、大橋と渡久地誠二を除く部員が停学になってしまう。部長の大橋はそれを横浜校にバカにされて憤り、絶対に決行すると意気込む。メンバー集めは困難を極めたが、最終的には武藤、中島、太尊、小兵二が出場することになった。

 訪れたフライ級・大橋VS細野の一戦。大橋が2敗している因縁の相手だ。

 今まで以上に気合いの入った大橋はゴングとともに強烈なパンチを繰り出し、ついにはダウンを奪う。が、ここで細野がグローブに小銭を仕込む卑劣な反則に及び、大橋は劣勢になってしまう。しかし大橋は、武藤らの応援に笑顔で応え、再び闘志を燃やした。

 一方の横浜校サイドは、渡嘉敷と佐藤が不正に気づき、揉めていた。その様子に一瞬気を取られた細野。大橋はその隙を見逃さず渾身の右ストレートをねじ込み、失神KOで勝利するのだった。

 続いてリングに上がったのは武藤。しかし、相手はインターハイ3位の実力者でボクシング歴8日の武藤に勝ち目はない。それでも武藤はリングに立った。恐怖を乗り越え、勝てない相手に挑む武藤の漢気は、周囲の士気をも高めた。

 試合は予想通り一方的だった。武藤はサンドバッグのように打ち込まれても、顔面にカウンターを食らっても、皆が棄権を促しても立ちあがる。彼を突き動かしたのは、大橋に華を持たせたいという強い想いだった。友のために極限の状況に身を置き続けた武藤の姿勢は、あまりにもカッコいい。

 そして限界が近づいたその時、涙を浮かべた大橋がタオルを投げ入れる。友を守るために試合を止めた大橋は、「すまん……」という武藤に「いい試合だった。礼を言うよ」と笑顔を見せる。衝突を乗り越えて結ばれた2人の絆が胸を打つ名シーンだ。 

 試合はその後、小兵二と太尊が勝ち3-2。大橋の想いが仲間の心を打ち、帝拳高校が勝利した。

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