2026年4月5日より、テレビアニメ『鬼滅の刃』シリーズが全編再放送される(毎週日曜朝9時30分放送開始)。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の終映も間近となり、名残惜しくも第二章への期待を高めているファンも多いだろう。
作中で鬼たちが振るう異能「血鬼術」は、主人公・竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊を幾度となく苦しめてきた。それぞれの術は使い手の性質や価値観を色濃く反映しており、戦い方そのものにも大きな個性を与えている。
鬼たちが操る血鬼術のなかには、「それはさすがに反則ではないか」と言いたくなるほど、圧倒的な性能を誇る「チート級」の能力が存在する。今回は、そうした規格外の能力の中から、作中最高の血鬼術は何かを振り返っていく。(なお、本稿では「柱稽古編」までに登場した血鬼術に限定する)
※本記事には作品の内容を含みます
■“幸せな夢”という名の猛毒……魘夢「夢操作」
まず最高の血鬼術の1つに挙げるのは、下弦の壱・魘夢が操る血鬼術「夢操作」だ。
この術の真の恐ろしさは、物理的な破壊力ではなく、対象を強制的に眠らせ、“夢”という形をとって人間の精神へ直接介入する点にある。夢の中で亡き家族と再会しながらも、再び辛い別れを強いられる炭治郎の姿に、胸を締め付けられたファンも多かったはずだ。
発動条件は極めてシンプルかつ多彩だ。自身の血を媒介として対象を深い眠りへと落とすのが基本だが、作中では血を染み込ませた切符を用いることで、あの炎柱・煉獄杏寿郎ですら抵抗できずに夢の中へと引きずり込んだ。
この他にも、音を介する「強制昏倒催眠の囁き」や、自身の眼を媒介とする「強制昏倒睡眠・眼」など、回避困難な術をいくつも備えている。
夢からの脱出方法は夢の中での「自死」だが、現実と見紛う世界で自らの命を絶つことは常人には不可能に近い。そもそも、それが夢だと自覚することすら困難だろう。加えて、夢の外側にある「無意識領域」に侵入し、そこにある「精神の核」を破壊することで廃人にするという極めて凶悪な攻撃も可能だ。
一方で、この術には直接的な殺傷能力が低いという弱点もある。しかし、もし他の十二鬼月が連携していたならば、その脅威は計り知れなかったはずだ。もっとも、鬼の始祖である鬼舞辻無惨が鬼が群れを作ることを禁じているうえ、十二鬼月も手柄を分け合う性質ではないため、連携が実現することはなかった。実際、魘夢が倒された直後、絶妙なタイミングで現れた猗窩座は、彼の最期を見届けてから介入している。
実現することはないとはいえ、他者との共闘を想定した際、この術が秘めるポテンシャルは底知れないと言えるだろう。
■美しき殺意の芸術……玉壺「壺」
続いて、上弦の伍・玉壺が操る血鬼術「壺」である。この術の真価は、単なる攻撃力ではなく、あらゆる局面に単独で対応できる圧倒的な「万能性」にある。
まず特筆すべきは、壺を媒介とした空間転移による機動力と、それに裏打ちされた卓越した「探索・探知能力」だ。玉壺はこの能力を駆使し、長年秘匿され続けてきた刀鍛冶の里の所在を独力で突き止めた。これは鬼殺隊の根幹を揺るがす、戦略的に非常に大きな功績だった。
さらに、壺から異形の「使い魔」を無尽蔵に生み出す召喚能力も備えている。この能力により里の各所を同時に襲撃し、刀鍛冶たちを蹂躙するその様は、個の戦闘力を超え、“組織そのものを破壊する力”として機能していた。
そして、対鬼殺隊においてとりわけ有効なのが「水獄鉢(すいごくばち)」ではないだろうか。これは粘り気のある水で巨大な壺に対象を閉じ込め、呼吸を封じるという技だ。“全集中の呼吸”を生命線とする剣士にとって、これ以上ない天敵と言えよう。
作中では霞柱・時透無一郎に破られることとなったが、それも玉壺が自称する「芸術家」ではなく、純粋な刺客に徹していれば、結果は異なっていた可能性が高い。
索敵から敵地制圧、さらには柱をも圧倒し得る戦闘力。本来なら一個師団が担うべき役割を、たった1体の異能で完遂させてしまう万能性こそが、血鬼術「壺」の真の脅威なのである。


