アニメ『機動戦士ガンダム』に登場したビグ・ザムを筆頭に、圧倒的な火力を誇る「モビルアーマー(MA)」たちは強烈な存在感を示した。汎用性の高さを犠牲にしながら桁外れの攻撃力を有するMAは、モビルスーツとは比にならない個性的な外観も特徴の1つといえる。
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』のアプサラス、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のノイエ・ジール、『機動戦士Zガンダム』のサイコ・ガンダムなど、見た目のインパクトが強烈だったMAは多い。だが、宇宙世紀作品の中で、特に異形に感じたのが劇場版『機動戦士ガンダムF91』に登場したMA「ラフレシア」ではないだろうか。
宇宙に咲く“禍々しい巨大花”とでもいうべき独特の造形に加え、無数の触手で攻撃するシーンが忘れられない人も多いはず。
そこで今回はガンダムシリーズのOVAやゲームまで幅を広げて、異形さが際立っていたMAをピックアップして振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■人を殺すために蘇った「残酷な天使」
アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場した巨大MA「ハシュマル」とその随伴機「プルーマ」は、ガンダムシリーズを長年追ってきた筆者の目から見ても異様なビジュアルで、恐るべき殺戮兵器ぶりに震えた。
ハシュマルとプルーマは完全自立型の機体であり、パイロットは搭乗していない。そして、その目的は「人を殺すこと」のみ。戦争に合理性を追求した結果、皮肉なことに無人兵器を作った人類自体が殺戮対象にされてしまったのである。
作中で描かれたハシュマルは、かつてたくさん存在した同型機の1個体にすぎず、300年前の「厄祭戦」と呼ばれる大戦は、この無人MAによる虐殺が発端となって勃発。この戦争で、当時の世界人口の4分の1を失ったとされている。
人類は無数に存在した凶悪な殺戮マシンに対抗するため、「ガンダム」をはじめとするモビルスーツを開発した。
『鉄血のオルフェンズ』の劇中にて、300年ぶりに活動を再開したハシュマルの外観は、怪鳥や翼竜のようなモンスターそのもの。随伴機であるプルーマも昆虫のようなビジュアルをしており、異形の生物に見える機体が大暴れする様に、恐怖を抱いた視聴者もいたことだろう。
そんな見た目も性能も恐ろしいMAハシュマルだが、その由来は主天使の名からきているのがなんとも皮肉である。
■ビグ・ザムのコンセプトを受け継いだ異形のMA
ワンダースワン用のゲーム『SDガンダム Gジェネレーション ギャザービート』(バンダイ)などに登場した「グロムリン」という巨大MAをご存知だろうか。
この機体は一年戦争末期にジオン公国軍が計画していたとされる重MAであり、その全高は60メートルにも及ぶ。
書籍『週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 43号』(デアゴスティーニ・ジャパン)によると、グロムリンはビグ・ザムの開発コンセプトから発展した機体であり、艦隊決戦を想定して無数のメガ粒子砲と有線式攻撃端末を装備予定だった。しかし、当時のジオンにその機体を開発する技術も余力もなく、開発計画は頓挫したという。
そのグロムリンは、ビグ・ザムと同じく緑を基調としたカラーリングながら、脚は1つしかなく、まるで「1本足のモンスター」のようなビジュアル。鳥のような頭部と胴体が有線でつながっているのも奇怪に映る。
ちなみに『ガンダム』シリーズのゲームには、グロムリンの発展機まで存在。巨大MA「アプサラス」のデータも反映して開発された「グロムリン・フォズィル」や、一年戦争後にアクシズに逃れたジオン残党が発展させた「グロムリンII」などが登場する。


