浜辺美波
浜辺美波  写真/ふたまん+編集部

 人気漫画の実写化には、常に高いハードルがつきまとう。とくに独自の世界観を持ち、超人的なキャラクターが数多く登場する『週刊少年ジャンプ』(集英社)作品の実写化は、原作ファンの大きな期待も相まって一筋縄ではいかないだろう。ビジュアルやキャラクター像に少しでも違和感があれば、厳しい評価にさらされることも少なくないのだ。

 しかし、そのようなプレッシャーをものともせず、まるで原作からそのまま抜け出してきたかのような、圧倒的な再現度を誇るヒロインも存在する。実写化のクオリティが向上した背景にはCG技術の進化なども挙げられるが、何よりそのキャラクターになりきるため、緻密な役作りや過酷なアクションに挑んだ女優たちの並々ならぬ努力があったからに他ならない。

 そこで今回は、ジャンプ漫画の実写化作品において、見事なビジュアルと演技でファンを魅了した実力派女優たちを複数回にわたって紹介していく。

(第5回/全5回)

※本記事には各作品の内容を含みます

■走り込みの肉体改造で魅せた無尽蔵の体力『約束のネバーランド』エマ役:浜辺美波

 2020年に公開された、白井カイウさん原作、出水ぽすかさん作画による大ヒットファンタジー漫画の実写映画『約束のネバーランド』。

 自分たちが鬼の食料として育てられているという残酷な真実を知った孤児たちが、決死の脱出劇を繰り広げる本作。その主人公であり、孤児院のリーダー的存在・エマを演じたのが浜辺美波さんである。

 エマは、天真爛漫で誰よりも真っ直ぐな性格の持ち主であり、運動能力に長けた快活な15歳の少女だ。原作でのエマは、登場当初は11歳という設定であり、映画では年齢が若干引き上げられている。とはいえ、撮影当時19歳だった浜辺さんが、年下であるエマを演じることには難しさがあっただろう。

 それまで清楚で儚げな役柄を演じることが多かった浜辺さんにとって、エマ役は新境地であった。のちのインタビューでは、“今まで演じたキャラクターとは全く違ったので、自分にエマのオファーが来たことに驚いた”と語っている。しかし、大好きな原作の実写化だからこそ、「自分が自信を持って満足いくまで演じる方が後悔しない」と強い覚悟を持って撮影に臨んだのである。

 その覚悟は、徹底した肉体改造に表れた。子ども特有の“ヘトヘトになるまで体力を消耗して全力で駆け抜ける”という躍動感を表現するため、浜辺さんは本格的な走り込みやジム通いを行い、体を作り上げた。撮影中も共演の子どもたちと同じくらい動き回り、スクリーンではたくましい体格や足の筋肉に至るまで、見事にエマを体現している。

 さらに、標高が高く空気が薄い山での過酷なロケや、木登りのアクションにも果敢に挑戦し、身体を張って過酷な脱獄劇にリアリティをもたらしたのである。

 また、本作では年下の俳優たちを率いる「座長」としての適応力も光った。エマと同い年という設定のノーマン役・板垣李光人さんや、レイ役・城桧吏さんは、実際には浜辺さんより年下だった。そのため、話す際には自然と目線が下がりがちになるが、“絶対に自分の目線は下げないようにしよう”と意識し、フラットな関係性を築いたという。

 圧倒的な逆境の中、希望を信じ続けるエマの明るさと強さを持ち前の華やかさで見事に演じきった浜辺さん。原作のエマが持つキュートな印象に加え、浜辺さんが演じたエマは透明感と凛とした存在感を放っており、実写版ならではのキャラクター像を確立していた。

 大勢の子どもたちを牽引し、少年漫画の壮大な世界観を実写として成立させた浜辺さんの熱演は、女優としての底知れぬポテンシャルを証明するものであった。

 

■実写版『約束のネバーランド』をPrime Videoでチェック
Prime Video 実写版『約束のネバーランド』
Prime Video 実写版『約束のネバーランド』

 

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