■ついに伝説が打ち破られる

 続くワールドユース選手権で、若林は再び過酷な試練に見舞われる。大会前にブライアン・クライフォート、ステファン・レヴィンという新キャラ2人によって両手首を負傷させられ、アジア二次予選では痛み止めの注射すら打たずに強行出場する場面があった。

 このアジア予選だけで、若林はサウジアラビアのマーク・オワイラン、中国の飛翔に1点ずつ決められ、さらに中国の肖俊光からは2点奪われて計4失点を喫した。特筆すべきは、肖俊光によるゴールだ。日向の雷獣シュートを打ち返した「反動蹴速迅砲」は、PA外から若林の守るネットを突き破ったのである。これが公式戦において、若林が初めてPA外からの失点を許した瞬間となった。

 その後、本戦決勝のブラジル戦でもカルロス・サンターナとナトゥレーザにゴールを許してしまう。特に試合終盤に登場したブラジルの真の10番、ナトゥレーザによるゴールシーンは衝撃的だった。

 後半のアディショナルタイム、太陽を背にジャンプしたナトゥレーザは、強烈なボレーシュートを放つ。若林は瞬時に反応し、それが「フライングドライブシュート」であり、その軌道がゴールを割るものではないことを見抜いた。

 しかし、ボールは芝の上で急激にバウンドしてゴールへと戻ってきたのである。芝のバウンドまで計算し尽くしたナトゥレーザの三段技に、若林も虚を突かれたかたちとなった。

 作中では、このシーンこそが「PA外からの伝説が打ち破られた」かのように劇的に描かれたが、実際には、前述した肖俊光がすでにその伝説を打ち破っており、読者の間では語り草となっている。

■超レアな失点シーンも…

 最後に、マドリッド五輪への挑戦を描く『キャプテン翼 GOLDEN-23』『キャプテン翼 ライジングサン』での描写を確認しておこう。

 まず、アジア最終予選のサウジアラビア戦では、非常に珍しいかたちでの失点が記録された。当時の新聞記事の見出しには「DF石崎 痛恨のオウンゴール!!」の文字が躍り、若林の背番号1が写った写真とともに、味方の石崎了がオウンゴールしたことが報じられたのである。

 その後、本選ではオランダのクライフォートにスパイラルジャンピングボレーを決められ、あっさり失点。相手の軸足を読んだ若林だったが、ひねりを加えることでその裏を取られた格好だ。

 アルゼンチンの天才ファン・ディアスには、ディエゴ・マラドーナを彷彿とさせる100メートル独走ドリブルと「神の手」ゴールにより2失点している。そして準々決勝のドイツ戦では失点こそなかったものの、命にかかわる大ケガを負って負傷退場するという衝撃的な展開を迎えた。

 

 今回振り返ったように、主要大会における若林の通算失点数は14点。多くのシーンに深刻なケガが絡んでおり、万全の状態であれば防げたと思わせる描写も多い。PA外から失点を許したのも、肖俊光とナトゥレーザによる2失点のみだ。

 「若林なら止めて当たり前」という高すぎるハードルがあるからこそ、1点を奪われること自体が対戦相手の強さを証明する最大の演出になる。主人公・大空翼とともに世界の頂点を目指す中、抑えて当然という緊迫感に包まれながら圧倒的な存在感を示すあたりが、若林が「S・G・G・K」たるゆえんなのだろう。

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