■豪華声優陣と、「ペルシャ語」が与えたインパクト

「やーの!」というペルシャの口癖もかわいかった 『魔法の妖精ペルシャ』 (C)青沼貴子/集英社・スタジオぴえろ

 「ぴえろ魔法少女シリーズ」の2作目となる『ペルシャ』で、その後の作品に続く流れが生み出されました。『マミ』に続いて主人公のボーイフレンドの声優は水島裕さんが担当、マスコット役も三田ゆう子さんが続投し、シリーズの定番となっていきました。

 そして主人公・ペルシャ役は、のちに『機動警察パトレイバー』の泉野明役なども務める冨永みーなさんが担当。ペルシャの口癖である語尾に「~の」をつける独特の口調は「ペルシャ語」などと呼ばれ特徴的でした。当時真似をした視聴者も多かったのではないでしょうか。

 マミ役の太田貴子さんは当時新人ゆえの「初々しい魅力」がありましたが、ペルシャ役の冨永さんは声優としての経験が豊富で、劇中で職業が変わった時の演じ分けがお見事。まさにプロフェッショナルな技術に魅了されました。

 28年ぶりの最新作『ルルットリリィ』をのぞき、実は「ぴえろ魔法少女シリーズ」で、声優をメインに活動されている方が主人公を務めたのは『ペルシャ』の冨永みーなさんだけ。その安定感も、本作のコメディ要素とシリアスな部分を支える大きな柱となったのです。

■ペルシャが見せた躍動感あふれる動きと型破りなヒロイン像

 前作『マミ』が光に包まれて優雅に衣装が変わる「アイドルの着替え」らしい演出だったのに対し、『ペルシャ』の変身は極めてダイナミックな「アクション」が見どころです。

 アフリカ育ちで人間離れした運動神経の持ち主であるペルシャは、変身シーンにおいてもバク転やジャンプを織り交ぜた躍動感あふれるアクションが見られました。魔法のバトンを振り回し、空間を切り裂くような演出は、当時の「新体操ブーム」の影響もあったのかもしれません。

 また、ペルシャは普通の女の子が躊躇しそうな場面も、野生の直感を信じてとことん突き進みます。そこに「キャリアガールへの変身」という魔法要素が加わることで、どんな難局も力技で突破。そんな型破りなヒロイン像こそが、安濃高志監督が描いたアニメ版『ペルシャ』の真骨頂に感じられました。

 中でも筆者が特に惹かれたのが、純真無垢なペルシャゆえの「歯にきぬ着せぬ物言い」です。悪人が相手でもまったく物怖じせずバッサリ切り込み、人助けをしようとした相手のあきれた悩みを聞いてあっさりさじを投げるなど、ウソや打算が一切感じられない正直すぎる言動に爽快感を覚えます。

 そして切ない大人の恋模様まで描かれたエピソードも印象的でした。個人的に一番好きなエピソードが第19話「ペルシャがふたり?」の回。

 ペルシャの変身後の姿がピアニストの沢木(声・井上和彦さん)の想い人「プリンセス・フェアリ」にうり二つであることからラブロマンスが展開。

 中身は11歳のペルシャには理解できない、大人の事情や愛の切なさが語られ、視聴者である少女たちに「少し背伸びをした世界」を教えてくれました。そこには、魔法少女シリーズの伝統である「少女の成長」というテーマも含まれていたのかもしれません。


 『魔法の天使クリィミーマミ』が提示したきらびやかな魔法少女像を良い意味で壊し、新たな可能性を切り拓いたのが2作目の『魔法の妖精ペルシャ』でした。

 底抜けに明るく、自由奔放なペルシャという破天荒なヒロインに元気をもらった視聴者も多いはず。そんな彼女は、魔法少女シリーズの中でもひときわ光り輝いた存在であり、放送終了から40年以上も経った今もなお、彼女の無垢な笑顔が忘れられないのです。

「ペルッコラブリン クルクルリンクル!」の呪文で変身 『魔法の妖精ペルシャ』 (C)青沼貴子/集英社・スタジオぴえろ・NTV 『魔法の妖精ペルシャ』 (C)青沼貴子/集英社・スタジオぴえろ
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