看護師からレスラーまで“バトンで変身”…ぴえろ魔法少女シリーズ『魔法の妖精ペルシャ』が描いた「オトナの女性」のかっこよさの画像
『魔法の妖精ペルシャ』キービジュアル (C)青沼貴子/集英社・スタジオぴえろ

 2026年4月5日より放送開始となる新アニメ『魔法の姉妹ルルットリリィ』。同作は1998年放送の『魔法のステージ ファンシーララ』以来、28年ぶりの復活となる「ぴえろ魔法少女シリーズ」の最新作で、シリーズ初の“W魔法少女”という設定も話題になっています。

 「ぴえろ魔法少女シリーズ」はその名からも分かるとおり、『うる星やつら』や『きまぐれオレンジ☆ロード』などを手がけた「スタジオぴえろ」が制作したオリジナル作品群です。

 1983年放送の第1作目『魔法の天使クリィミーマミ』の大ヒットを皮切りに、昭和から平成にかけて計5作品も輩出した人気シリーズでした。

 そして、シリーズの中でも1984年に放送された第2作目『魔法の妖精ペルシャ』は、一風変わったテイストの作品でした。全シリーズ中、唯一原案となる漫画があり、魔法少女ものながら主人公は自然味あふれる「野生児」というのも個性的です。

 華やかなアイドルを描いた前作の『クリィミーマミ』と比較すると、『ペルシャ』は対照的な作品かもしれません。そんな『魔法の妖精ペルシャ』のの魅力を振り返ってみたいと思います。

※本記事には作品の内容を含みます。

■野生児ヒロインが憧れの職業に大変身!

ヒロインが野生児という斬新さ 『魔法の妖精ペルシャ』 (C)青沼貴子/集英社・スタジオぴえろ

 

 『魔法の妖精ペルシャ』の主人公は、アフリカの大自然で育った11歳の野生児・速水ペルシャ。日本への帰国途中に妖精の国「ラブリードリーム」に迷い込んだ彼女は、凍りついた妖精の国を救うため、魔法のバトンで「愛のエネルギー」を集めるという使命を託されるというストーリー。

 特筆すべきはシリーズで唯一「オリジナルアニメ」ではなく、原案となった作品が存在する点にあります。それは青沼貴子さんの『ペルシャがすき!』(集英社)という少女漫画。ただし、漫画の『ペルシャがすき!』には魔法の要素は存在せず、アニメ版『ペルシャ』では大胆に設定がアレンジされていました。

 アニメは、原案となった「魔法少女ではないペルシャ」とは別物に近い内容ですが、根底に流れるパワフルなコメディセンスには、青沼作品の遺伝子が感じられます。

 魔法少女シリーズの主人公は「どこにでもいる普通の少女」が大半ですが、アフリカでライオンとともに育ったペルシャは、明らかに異色の存在。変身前から超人的な身体能力を誇る野生児だったのです。

 前作の『クリィミーマミ』は魔法によって少女がアイドルに変身し、そのことによって生まれるドラマを描いた作品でしたが、『ペルシャ』は少々異なります。魔法のバトンでいろんな職業に変身できるだけでなく、いわゆる魔法使いのような便利な能力も行使できました。そのあたりは、従来の魔法少女ものに通じるものがあります。

 また、アイドルのマミはステージ衣装などで着せ替え感覚が楽しめましたが、ペルシャは1話で何度も着替え(変身し)ます。しかもスターのような遠い世界の存在ではなく、女性警官や看護師といった「身近でかっこいい大人」への変身に、当時の少女は憧れました。毎度さまざまなファッションを披露してくれるペルシャは、アイドルとはまた違うおしゃれさがあり、魅力的だったのです。

 また、放送当時は女子プロレスが人気を集め、「クラッシュ・ギャルズ」が社会現象となっていた頃です。その影響もあってか「アンドレ藤原」や「オスカル前田」といった『ベルサイユのばら』のパロディを交えたレスラーまで登場。ペルシャ自身も「フライングライオン」という女子レスラーに変身するなど、当時の少女が夢中になったネタがふんだんに詰め込まれていたのも印象的でした。

 ほかにも、当時の有名人をもじったゲストキャラが登場するような遊び心が満載で、昭和のアニメならではのハチャメチャなノリがあるのもペルシャの魅力でもあります。

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