父も子も“変身”する劇的展開…『仮面ライダー』史に残る「親子ライダー」共闘の熱いドラマ 『キバ』に『ゼロワン』、『ガッチャード』も…の画像
『仮面ライダーゼロワン ファイナルステージ&番組キャストトークショー』(東映)(C) 2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

 長い歴史を誇る『仮面ライダー』シリーズ。若きヒーローたちの熱い戦いはもちろん大きな魅力だが、近年ファンの間で強い印象を残しているのが、自らもベルトを巻き変身する「父親ライダー」たちの存在だ。

 彼らは単なる「父親」という立場にとどまらず、ときには乗り越えるべき高い壁として、ときには迷える息子や娘を導く先導者として戦場に立ち、主役ライダーに負けず劣らずの存在感を放ってきた。

 そこで今回は、シリーズの歴史に強烈な爪痕を刻んだ、印象深い3組の親子ライダーの物語を振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■時を超えて共鳴する魂『仮面ライダーキバ』紅音也と渡

 父から子へ、時を超えて受け継がれる「魂」を最も象徴的に描いたのが、2008年〜2009年に放送の『仮面ライダーキバ』だ。1986年と2008年、2つの時代が同時進行する本作において、父である天才バイオリニスト・紅音也の奔放な生きざまは、時を経て内気な息子・紅渡の運命と深く交錯していく。

 音也は渡が生まれる前に亡くなっているのだが、物語終盤で親子はついに時空を超えた直接対面を果たすこととなる。

 第43話、愛する鈴木深央を手にかけてしまった(と思い込んだ)深い絶望に沈んだ渡は、自らの存在を消し去ることで悲劇を止めようと決意。父・音也と母・真夜が結ばれる未来を阻止するため、「時の扉」をくぐり1986年へと飛ぶのである。

 当然、自分とそう年齢の変わらない青年に「実の息子だ」と言われても、音也が信じるはずもない。しかし渡が、自身の魂の結晶ともいえるバイオリン「ブラッディ・ローズ」の名を口にしたことで、音也は彼を息子だと認め、一気に打ち解ける。共に風呂に入り、父親らしい“お尻ぺんぺん”を食らわせるなど、その強引ながらも温かな距離の詰め方は実に音也らしいものであった。

 さらに音也は、絶望の淵にいた渡にこう語りかける。「人は前に進むもんだ。悲しみを飲み込み大きくなったとき、彼女はそこにいる」。その言葉は、息子を再び立ち上がらせるための大きな支えとなった。

 一方、音也はキング(バットファンガイア)から愛する女性・真夜と、その息子である登太牙を守るため、キバットバットII世の力を借り「仮面ライダーダークキバ」に変身する。

 強大な闇の力は人間である彼の身体を確実に蝕んでいくが、渡もまた父を助けるため仮面ライダーキバ エンペラーフォームとなり共闘する。

 親子2人のライダーキックによって最強の敵キングを打ち倒すシーンは、本作屈指の名場面と言えるだろう。

■種族を超えた親子愛『仮面ライダーゼロワン』飛電其雄と或人

 AIと人間の共存をテーマにした『仮面ライダーゼロワン』(2019年〜2020年)において、主人公・飛電或人(仮面ライダーゼロワン)の正義の原点となった存在が、父であるヒューマギア・飛電其雄だった。

 ヒューマギアでありながら或人の「父親」として彼を育てた其雄。しかし大事故「デイブレイク」から幼い或人を守るため、爆炎に晒され機能を停止してしまう。また、映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』で描かれた歴史改変の世界では、其雄自身も「仮面ライダー1型」へと変身し、或人の前に立ちはだかる最強の壁となったのは衝撃だった。

 そんな其雄が再び姿を見せたのは、物語終盤の第44話である。秘書のイズを失った怒りと憎しみに呑まれ「仮面ライダーアークワン」へと闇堕ちしてしまった或人。そんな息子に対し、其雄はゼロツープログライズキーの内部領域を通じて静かに語りかける。

 「本当の強さとは力が強いことじゃない。心が強いことだ。今のお前ならもうその意味が分かるはずだ」と。

 かつてデイブレイクの日、父を失った少年は泣くことしかできなかった。しかし今の或人は、悪意に立ち向かう力を持っている。だからこそ、その力を憎しみではなく“正しい意志”のために使うべきなのだと、本体が機能停止し外部メモリーとなった後も父は息子を導き続けたのである。

 そして其雄は、抱えていた飛電ゼロワンドライバーを或人へ託し、静かに姿を消す。その想いを受け取った或人は、最終決戦で「リアライジングホッパー」という真の力を呼び覚ますこととなった。

 ヒューマギアでありながら「父」として息子を育て、外部メモリーとなっても仮面ライダーとしての正しい道を示した飛電其雄。彼こそが、ヒーロー・飛電或人の原点を作り上げた、唯一無二の「父親ライダー」だったのである。

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