■ジョルジュとアストリア

 『ファイアーエムブレム 紋章の謎』(1994年)に登場するジョルジュは、弓を得意とするアカネイア王国のイケメンスナイパーで、暗黒戦争においては、マルスの仲間としてドルーア帝国打倒に力を尽くした人物である。

 暗黒戦争後、オレルアン王の王弟ハーディンがアカネイア帝国の皇帝に即位し、民を弾圧するようになると、ハーディンはかつての仲間であったマルスを反逆者として攻撃を加えてくるのだ。

 マルスは、ハーディンのことを信じ、本心を確かめるためにアカネイアパレスに向かう途中、ジョルジュも所属するアカネイア軍と遭遇するのである。

 ジョルジュは、アカネイア王女であるニーナへの忠誠心のため、ハーディンのことに疑問を覚えつつも、マルスと敵対することになる。

 このときジョルジュは王家に伝わる強力な弓パルティアを装備しており、かなり手ごわい。ただし、こちらから近づかなければ攻撃をしてくることがないのが救いである。

 祖国への愛が強く、信念を持って行動しているからこそ、敵対せざるを得なかったとはいえ、かつての仲間が矢を向けてくる様子に愕然としたプレイヤーも多いだろう。

 ちなみに、暗黒戦争時代にはマルスの仲間だったアカネイアの勇者・アストリアも同様に最初は敵として立ちはだかってくる。

 積極的に攻めてこないジョルジュとは対照的に、強力な王家の武器メリクルソードを手に、各マップでマルスを追いかけ回してくるため、むしろ苦しめられたのはこちらかもしれない

 2人とものちに説得可能になり再び仲間になるのだが、それまでさんざん苦しめられただけに、複雑な気持ちを抱いたプレイヤーもいただろう。

 2人の愛国心を利用したハーディン許すまじといったところだが、もっとも、ハーディン自身も魔道士ガーネフによって洗脳された悪堕ちキャラであり、気の毒ではある。

 

 もともと心優しく正義感あふれるキャラが巧みに利用され、悪の手先になるというのは古典的な演出かもしれない。だが、古典的であるからこそ、敵のボスキャラが「絶対的な悪」であるというイメージをプレイヤーに植え付けるのに有効な手法であるともいえるだろう。

 悪堕ちしたキャラは言わば、そういった手法の犠牲者であるのかもしれない。『ファイアーエムブレム』シリーズでは、悪堕ちして主人公たちの敵になるキャラは強いことが多いため、洗脳の怒りをラスボスとの戦いへのモチベーションにしてみてもいいだろう。

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