任天堂の『ファイアーエムブレム』シリーズは、剣と魔法の世界を舞台に繰り広げられる争乱を描いたシミュレーションRPGである。
一般的な戦略シミュレーションゲームのようにキャラを駒として見るのではなく、ひとりの人間として描いており、登場するキャラたちは、強い信念に基づいて行動したり、日和見を決め込んでいたり、特定の人物同士が仲悪かったりするなどそれぞれに異なる。ユニットとしての能力以外の個性や人間模様の部分にもかなり焦点が当てられているのが特徴だ。
その中でシリーズを重ねて描かれてきたのが、心優しく正義感の強いキャラであるにもかかわらず、それぞれの理由から“悪堕ち”してしまうキャラの悲しき物語だ。
同シリーズはイケメンキャラや美少女キャラにファンが多く、悪堕ちした美形キャラをいかにして仲間に引き入れるかが本作の魅力のひとつともいっていいだろう。仲間になったときには勇ましいテーマ曲が流れ、心躍らされたものである。
今回は歴代FEシリーズで悪堕ちしたキャラについて振り返っていきたい。
※本記事は作品の内容を含みます。
■運命的な出会いを果たす皇女ユリア
まずは、前半がシグルドを中心とした親世代、後半はその息子セリスを中心とした子世代が描かれる、シリーズでも異色の作品である『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』(1996年)から、ユリアを振り返りたい。
ユリアは後半の子世代から登場するキャラクターで、名前以外の記憶を失ってしまっている。
穏やかなその見た目に反して非常に強力な魔法を使えるユリアはセリスとともに戦うが、実は彼女の父親は、グランベル帝国の皇帝アルヴィスであり、セリスにとっては父の仇にあたる。そしてユリアの母親ディアドラは、セリスの父親であるシグルドの妻だった女性。つまり、セリスとユリアは実は異父兄妹だったという複雑な人間関係が明らかになっていくのだ。
本作のラスボスは、そんなアルヴィスとディアドラとの間に生まれた第一皇子ユリウスである。
ユリアの兄にあたるのだが、彼は暗黒教団によって暗黒神ロプトウスの力に支配され、強大な力を身につけていた。
ロプトウスに対抗できる光魔法ナーガの継承者でもあったユリアは、暗黒教団のマンフロイ大司教によってセリス軍を引き離され、洗脳された状態で戦場に再び姿を見せる。
だが、マンフロイを倒すことで正気を取り戻すと、再びセリスの仲間となり、ユリウスと戦うことになる。
ユリアが使用できる光魔法ナーガでユリウスに大ダメージを与えることができるので、あっさり倒してしまい、拍子抜けした人も多かったかもしれない。
だが、心優しいユリアを洗脳した悪の集団を成敗し、胸がすくような思いだったのは筆者だけではないだろう。








