テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の主人公機・ガンダムと並ぶほど高い知名度を誇るジオン軍のモビルスーツ(MS)といえば「ザク」ではないだろうか。毎年3月9日はその語呂合わせから「ザクの日」と呼ばれ、関連するゲームなどで記念イベントが開催されることもあった。
そんなザクは、アニメ劇中の描写から「やられ役」のイメージが強く、物語終盤になると新たに投入された新型量産機に出番を奪われていった。
しかし、ザクの特徴でもある「むき出しの動力パイプ」など、メカ好きにはたまらない渋いデザインからザクを愛するファンは多い。そのためか『機動戦士ガンダム』の本編には登場しなかった、高い戦闘力を誇るザクのバリエーションも存在した。
そこで今回はファンに親しまれる「ザクの日」にちなみ、『機動戦士ガンダム』の舞台となった一年戦争時におけるザクシリーズの中から、特に強力と思われる最強候補の機体をピックアップしていこう。
■ザクIIとゲルググの間を補完する「ミッシングリンク」
アニメ本編に登場した「ザクII」と「ゲルググ」の間に、実は「高機動型ザクII ゲルググ先行試作型(MS-06R-3)」という試作機が存在したことをご存知だろうか。
同MSは、雑誌企画「M-MSV」から生まれたもので、「高機動型ザクII R-2型」をベースに、ガンダムに対抗しうる機動力やビーム兵器を実現すべく開発されたという経緯がある。
そもそも、このベースとなった高機動型ザクII R-2型自体、非常に評価が高い。たとえばゲーム『SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス』(バンダイナムコエンターテインメント)内の紹介文によれば、「ザクの最終形にして最高峰の機体」と絶賛されている。
その機体に、当時圧倒的な威力を誇ったビーム兵器を装備させることで、より高みを目指したMSなので、一年戦争時ならば最強のザクの有力候補といって差し支えないだろう。
その名称から分かる通り、ザクIIとゲルググの中間のような外観をしており、資料によって呼び名はバラバラ。中には「ゲルググ先行試作型(ザクIII)」とするものもあるが、後にネオ・ジオンが開発するザクIIIとは完全に別物である。
書籍『総解説ガンダム事典』(講談社)によると、ゲルググ先行試作型ではビーム兵器が携行できるだけのジェネレーター出力を実現したものの、結局ゲルググに同機の設計は引き継がれず、データのみを基盤として新規設計で開発されることになったとされている。
こうして高機動型ザクII ゲルググ先行試作型は日の目を見ることはなかったが、次期主力量産機のゲルググも開発の遅れにより、実戦投入できたのは終戦間際のこと。熟練パイロット不足もあって、本来の性能をフルに発揮できなかったのはアニメ劇中で描かれたとおりだ。
もし高機動型ザクII ゲルググ先行試作型が早い段階で量産にこぎつけていたら、ジオン公国軍の宇宙での戦いは違った展開になっていた……かもしれない。
■『Zガンダム』の時代でも活躍した名機
『機動戦士ガンダム』のMSV企画の1つである「MS-X(ペズン)」で設定された最強のザク候補が「アクト・ザク(MS-11)」だ。
同MSが開発されたのは一年戦争時にもかかわらず、その7年後を描いたアニメ『機動戦士Zガンダム』にも登場するほど息の長い活躍を見せた。
アクト・ザクの最大の特徴は、アムロ・レイが乗るガンダムと同様に「マグネット・コーティング」が施された点にある。連邦が誇る頭脳、モスク・ハン博士が確立した最新技術をジオンがどのように入手したのかは不明だが、マグネット・コーティングによる運動性向上の恩恵を受けている。
さらにビーム兵器の運用も可能なジェネレーター出力を誇り、背中のランドセルには新型スラスターを装備。高機動型ザクIIをも上回る推力を実現した。
そのためフルパワー時の圧倒的な機動性能は、一般パイロットには扱えないレベル。運用時はリミッターが設けられるほどだった。
一年戦争終結後、高性能な同機に目をつけた地球連邦軍が接収。全天周囲モニター・リニアシートが換装され、グリプス戦役の時代まで活躍することとなる。
そして一年戦争の外伝作品を集めたPS3用ソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』(バンダイナムコゲームズ)にもアクト・ザクが登場。ジオン軍のパイロット「マレット・サンギーヌ」は、リミッターを解除したアクト・ザクに乗り、ガンダム5号機と激闘を繰り広げている。


