■子どもの頃から見せた勇者の片鱗…ナイフ1本で魔物を退治
ヒンメルの強さが勇者の名にふさわしいものであることはこれまで見てきた通りだが、彼の強さは幼い頃から折り紙付きだった。第25話の回想シーンでヒンメルは、子どもの頃に魔物から行商人を助けた思い出を語っている。
魔物との戦いの詳細は詳しく描かれていないものの、幼いヒンメルが右手にナイフを握り、自分より何倍も大きい鳥のような魔物に立ち向かって見事退治したコマが描かれている。
これをそのまま受け取れば、ナイフだけで魔物を倒したのだろう。成熟した青年期ならまだしも、まだ小さい子どもがナイフ1本で魔物を打ち破ったという事実は、彼が生まれながらにして勇者の資質を備えていたことを示しているようだ。まさに勇者の前日譚にふさわしいエピソードだろう。
ちなみに、ヒンメルはこの時に行商人から受け取った偽物の「勇者の剣」を手に、最終的に魔王を打ち破っている。本物の“勇者の剣”に頼ることなく自らの力で世界を救ったヒンメルは、誰もが認める本物の勇者になったのだ。
勇者ヒンメルの強さとして卓越した剣技、超人的な身体能力について紹介してきたが、彼の本質的な強さは、そうした物理的な戦闘力だけで語れるものではないだろう。
フリーレンの記憶の中に生きるヒンメルは、どんな時も困っている人を絶対に見捨てない優しさと、いかなる困難にも挫けない勇敢な心を持っていた。それこそ、まさに「勇者」と呼ぶにふさわしい部分といえそうだ。
高い戦闘力と他者を思いやる高潔な心。その2つを併せ持っていたからこそ、ヒンメルは世界を救い、死後数十年が経過した今もなお、人々から敬愛される勇者になれたのだろう。


