猿渡哲也氏による『高校鉄拳伝タフ』(集英社)から始まるシリーズは、1993年から連載を開始し、『TOUGH―タフ―』『TOUGH 龍を継ぐ男』といった続編も人気を誇る。
主人公の宮沢熹一(キー坊)が古武術「灘神影流活殺術」の技を使いこなす姿は、多くの読者の胸を熱くさせてきた。対戦相手は格闘家にとどまらず、ロボットや改造人間と多彩で、他の格闘漫画とはまた違った魅力を持っている。
作中には数多くの強者が登場するが、その中で誰が最強なのかは読者のあいだでも議論されてきた。最先端科学のロボットまで出てくるため判断は難しいが、それぞれの作品ごとに分けて最強キャラを考察していく。
※本記事には作品の内容を含みます。
■『高校鉄拳伝タフ』の最強キャラ
『高校鉄拳伝タフ』では、17歳のキー坊が数々の強敵との実戦を繰り返しながら成長を遂げていく。序盤で戦った柔道家の加納剛次、灘心陽流の黒田光秀といった高校生たちは、灘神影流を操るキー坊の敵ではなかった。
作中でキー坊が敗北した相手は、アイアン木場、ギャルアッド・スワンパクティ、エドガード・C・ガルシアの3人だ。とはいえいずれも紙一重の勝利であり、キー坊に圧勝したというわけではない。
この中で飛び抜けていたのがガルシアで、ギャルアッドとアイアン木場には余裕で勝利している描写がある。最強トーナメントT・D・Kでは、ガルシアの対戦相手のほとんどが善戦すらできずに敗北。キー坊の最大のライバルにふさわしい相手であった。
そんなガルシアに試合で敗れたキー坊だが、ガルシアは試合直後に命を落とす。その原因はキー坊が試合中に放った二度の「蠢蟹掌(しゅんかいしょう)」であり、いわば“試合に負けて勝負に勝った”結果ともいえる。
こうした描写を踏まえれば最強はガルシアかキー坊になりそうだが、実はこの2人をはるかに上回るキャラクターが存在する。それが、キー坊の伯父にあたる宮沢鬼龍と、キー坊の父親で鬼龍の双子の弟である宮沢静虎だ。鬼龍はガルシアを赤子扱いするほどの実力者であり、キー坊との戦力差も歴然としていた。そんな彼に唯一対抗できるのが静虎である。
物語終盤の兄弟対決では、究極奥義「呪怨」や「幻朧(げんろう)」といった高度な技の応酬が繰り広げられた。結果としては鬼龍が僅差で勝利をおさめたが、彼自身は勝利の手ごたえを感じられず、敗者のような苦い表情を浮かべていた。
この結末から、『高校鉄拳伝タフ』の最強キャラは、鬼龍と静虎がほぼ互角で並ぶといえるだろう。
■『TOUGH』における最強キャラ
キー坊が19歳になった『TOUGH』でも、相変わらず鬼龍の独壇場になるかと思われた。しかし、灘神影流と祖を同じくする古武術「幽玄真影流」の使い手の登場により、その構図はくつがえされる。
本作で鬼龍は、この古武術を使う金城剣史と横山春草に病院送りにされてしまう。本人は負けを認めていないものの、幽玄真影流との力の差は明らかだった。
その幽玄真影流と渡り合い、勝利をおさめたのがキー坊だ。この流派の中でも屈指の実力を誇る「幽玄死天王」の2人、木村大観と下村武山をキー坊は実力で下している。また、死んだと思われていた鬼龍と静虎の兄・宮沢尊鷹も幽玄真影流を攻略しており、弟2人より強いことが示唆された。
こうした中で最強と思われるのが、キー坊の実の父親であり、幽玄真影流のトップに立つ日下部覚吾だ。究極の打撃技「幻突」を使うことができ、静虎をもあっさりと退けている。
最終戦は覚吾とキー坊の親子対決となるが、実力も技もほぼ互角だった。勝負の鍵を握ったのはキー坊の応用技である。彼は、灘神影流の受け流し技「弾丸すべり」と幽玄真影流の「幻突」を融合させて威力を高め、覚吾を倒した。キー坊はその後「灘・真・神影流」という新たな流派を立ち上げ、幽玄真影流と灘神影流双方の技を使いこなす唯一の格闘家となる。
ここから見ても、『TOUGH』における最強キャラはキー坊といえるだろう。ようやく主人公のキー坊が最強に上り詰めたわけである。


