漫画作品の「第1話」といえば、物語の幕開けを描き、読者を作品世界へと誘う重要な瞬間だ。
多くの漫画では、主人公の日常や性格を丁寧に描きながら徐々に物語へと引き込んでいくのだが、なかには第1話から読者の度肝を抜くような衝撃展開を用意した作品も存在している。
序盤から容赦なく繰り広げられる怒涛の展開は、連載当時の読者たちに大きな驚きを与えたに違いない。
そこで今回は、第1話から常識をくつがえす展開で読者を釘づけにした、驚きの幕開けを飾った作品を見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■黒い球が告げる理不尽極まりないゲーム『GANTZ』玄野計
2000年より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載された奥浩哉氏の漫画『GANTZ』。命を落としてしまった人々が謎の黒い球「ガンツ」に召喚され、理不尽な指令のもとで命がけの戦いに身を投じる物語だ。
一瞬で命を落とす容赦ないバトル描写や、謎が謎を呼ぶSF的な設定の数々など、独自の魅力で多くの読者を惹きつけた大人気作である。
そんな本作で命がけのデスゲームに挑むことになるのが、主人公である高校1年生・玄野計だ。普段の彼はとにかく無気力であり、何事も斜に構えて捉える一方、異性には強い興味を抱くなど良くも悪くも等身大の高校生として描かれている。
そんな玄野は物語冒頭、彼の運命を変える大きな出来事に巻き込まれることに。地下鉄のホームで線路に転落したホームレスを助けようとした小学校時代の親友・加藤勝。最初こそ無関係を決め込んでいた玄野だったが、加藤に声をかけられたことで、救助活動に加わることになったのだ。
なんとか酔っ払いを引き上げることに成功するも、運悪くそこに電車が進入。線路にいた2人は必死に逃げようとするが、無慈悲にも電車に轢かれてしまう。
原作漫画では、電車に轢かれてバラバラに吹き飛んでいく姿が克明に描かれており、非常にショッキングなシーンとなっている。
第1話で命を落としてしまった玄野は、これをきっかけに謎の黒い球「ガンツ」の世界へと導かれ、奇妙で理不尽な戦いの日々に巻き込まれていくのだ。
主人公が電車に轢かれるという衝撃的な冒頭に加え、死してなお理不尽な戦いを強いられるという怒涛の展開によって、作品の世界観に一気に引き込まれる1作である。
■霊界探偵があの世で繰り広げる大激闘…『幽☆遊☆白書』浦飯幽助
『幽☆遊☆白書』は、不慮の事故で命を落とした主人公が霊界探偵としてよみがえり、数々の強敵たちと激闘を乗り越えていく物語だ。1990年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された冨樫義博氏の代表作で、その高い人気からアニメ化はもちろん、2023年には実写版ドラマが展開されるなど、いまだに絶大な人気を誇っている。
本作の主人公は、皿屋敷中学校に通う中学生・浦飯幽助。リーゼント風に固めたオールバックの髪型がトレードマークで、授業をよくさぼっては喧嘩に明け暮れる日々を送る、不良少年として描かれていた。
「皿中の浦飯」として不良たちからも恐れられる一方、根は優しく、人を惹きつける独特の魅力も持ち合わせている。
そんな幽助は物語開始直後、車に轢かれそうになった子どもを庇い、身代わりとなって命を落としてしまう。持ち前の行動力と正義感からの行動だったが、これをきっかけに幽助は幽霊になってしまうのである。
これだけでも衝撃的だが、さらにその後現れた霊界案内人・ぼたんの口からまさかの事実が告げられる。
実は、札付きの不良である幽助が子どもを助けて命を落とすことは、霊界にとっても想定外の出来事だったという。そのため幽助は特例として、とある試験のクリアを条件に生き返るチャンスが与えられるのである。
幽助が霊界探偵になるための大きなきっかけではあるが、物語開始早々、主人公が事故に遭い幽霊になるという怒涛の展開は、当時の読者にも大きな衝撃を与えたことだろう。
物語の起点としてはもちろん、とっさに子どもを助ける幽助の人の良さも同時に描いた、非常に巧みな第1話といえるだろう。


