松山ケンイチ主演『テミスの不確かな法廷』が「今期ドラマ一番」と断言できる理由【かんそうの週刊ドラマレビュー】の画像
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 ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。今回は、NHKで放送中のドラマ『テミスの不確かな法廷』、主演の松山ケンイチさんのすばらしい演技について語ります。

 NHKで放送中のドラマ『テミスの不確かな法廷』、第5話終了時点で個人的に「今期ドラマ一番」と言い切れるくらい面白いです。

 この面白さの根幹を担っているのは、やはり主演・松山ケンイチの演技力。松山ケンイチ演じる安堂清春は一見すると真面目で穏やかで、教科書通りの「裁判官」の佇まいをしてる。でも内側にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)を抱えてて、それを周りに絶対バレたくないから、毎日毎日「普通」を演じ続けてるという、非常に難しい役なんですが、その「演じてる」感が、松山ケンイチの身体からにじみ出てるのがヤバい。

 視線が微妙に合わない瞬間とか、会話のタイミングが0.5秒ずれる感じとか、早口でまくし立てて急に自分で「やべ、やりすぎた」って口を閉じる一瞬とか。全部が計算じゃなくて、自然に「生きてる」みたいに出てくるから、見てるこっちが「これ本人なんじゃないの?」って本気で思ってしまう。

 喫茶店でナポリタンしか頼まないこだわりや、衝動が抑えきれなくて体が前後に揺れそうになるのを必死に堪えてる仕草。誇張してないのに、ちゃんと「生きづらさ」が体現されてる。特性を「面白いネタ」みたいに扱ってないところが、松山ケンイチの演技の繊細さの賜物。笑えるシーンもあるけど、笑った直後に胸がズキッとする。その切なさが、安堂という人間を濃くしてる。

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