■あまりにも悲しい兄弟対決『NARUTO-ナルト-』サスケvsイタチ

 最後に紹介するのは、岸本斉史さんによる『NARUTO-ナルト-』での、うちはサスケとうちはイタチによる兄弟対決である。

 名門・うちは一族出身であり、将来を期待されていたサスケ。しかし彼は、かつて一族を皆殺しにした兄・イタチへの復讐のみを目的に生きていた。そのために仲間を捨てて里を抜け、力を手に入れると、ついにイタチとの決戦に臨む。長年の因縁がぶつかり合う戦いは、互いに一歩も譲らない壮絶なものとなった。

 戦いは幻術の応酬に始まり、イタチが万華鏡写輪眼で「月読」や「天照」を放てば、サスケは最大級のスケールを誇る雷遁忍術「麒麟」で応戦。互いが全力を出し合う規格外の戦いは、どちらが勝つのかまったく読めなかった。

 しかし、イタチには写輪眼最強の術「須佐能乎」という奥の手があった。この絶対的な力を前にサスケは追い詰められるが、イタチは突如血を吐き、弟の額を小突きながら何かを言ったかと思うと、倒れて力尽きてしまう。

 この戦いの後、イタチの真実が明らかになる。彼が一族を手にかけたのは、サスケや里を守るための苦渋の決断だった。さらに、病に侵されていたイタチは自身の死期を悟っており、サスケに自身を殺させて彼を「英雄」に仕立て上げるというシナリオを思い描いていたのである。

 最期の瞬間、「許せサスケ…」「…これで最後だ」と笑顔を浮かべたイタチの姿は、サスケの記憶にある優しい兄そのままだった。

 真実を知ってしまうと、この兄弟対決はあまりにも虚しく悲しい。もしサスケがもう少し早く真実を知っていれば、まったく違う未来があったのかもしれない。そう思わされる、やるせない結末だった。

 

 主人公が関わらない第三勢力同士の対決は、物語の裏側で起こっている別のドラマを見ているような面白さがある。それまで描かれなかった敵サイドのキャラクターの信念や覚悟が浮き彫りになり、物語によりいっそう深みや奥行きが与えられるからだ。

 あなたの心に残っている「第三勢力」同士の戦いには、どのようなものがあるだろうか。

 

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NARUTO―ナルト― モノクロ版 43 (ジャンプコミックスDIGITAL)
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