塩屋浩三さん追悼『ドラゴンボール』ブウ役だけじゃない…ファンの記憶に残る名演技とキャラクターを振り返る 『銀河英雄伝説』に『戦国BASARA』『ワンピース』も…の画像
「銀河英雄伝説外伝 Blu-ray Vol.3」(ポニーキャニオン) (C)田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー (C)加藤直之

 2026年1月28日、青二プロダクションは公式サイトにて所属声優の塩屋浩三さんが、同月20日に脳出血のため永眠したことを発表した。享年71歳。

 塩屋さんは芸歴50年以上の大ベテランで、『ドラゴンボールZ』の魔人ブウ役などで知られている。『科学忍者隊ガッチャマン』でつばくろの甚平役を務めた塩屋翼さんは実弟である。

 塩屋さんの演じる役柄には、ぽっちゃりタイプや巨漢のキャラクターが多く、悪役だったとしてもどこか憎めない愛嬌が感じられた。また、クセ強な役柄での演技も魅力的で、個性的なバイプレイヤーとしても知られている。

 そんな塩屋浩三さんがこれまでに演じられた、印象的なキャラクターでの演技を振り返ってみたい。

■幅広い演技で存在感を示した名優

 塩屋浩三さんといえば、やはり魔人ブウのイメージが強い。特に『ドラゴンボールZ』の第255話「どっちが勝つの!? 善悪ブウブウ対決」では、その演技力が冴えわたった。

 ブウの体が2つに分かれてしまい、ブウ同士が激突することに。どちらも演じたのは塩屋さんだが、激しい打撃戦において声色やちょっとした息づかいなどで違いを表現。

 無邪気なブウはおっとりと、怒りで生まれたブウはしわ枯れて刺々しい。そして善のブウを取り込んだあとの悪のブウは、クレイジーな雰囲気に満ちた声色で、1人で3役を見事に演じ分けた。

 さらにその後、ゴテンクスやピッコロを吸収した際には、若くて知的な「イケボ」まで披露し、ファンを驚かせている。

 幅広い演技に定評がある塩屋さんは、もとはゲームでアニメにもなった『戦国BASARA』でもその実力を遺憾なく発揮する。今川義元役では突飛でひょうきんな声の公家の雰囲気を醸し、ザビー役では個性的な南蛮人を演じ、クセ強な2人を愛着が持てるキャラへと昇華してくれた。

 『ワンピース』では、強面だが父親のようにやさしいココヤシ村駐在のゲンゾウ、ビッグマウスでお調子者のヒトデ・パッパグ、無邪気さを残した巨漢の実力者エドワード・ウィーブルを担当。まったくタイプの異なる複数のキャラをきっちり演じきっていた。

 また、塩屋さんと聞いて個人的に思い出すのが、『蒼き流星SPTレイズナー』に登場した死鬼隊メンバーのマンジェロだ。残忍で好戦的、さらに酷い猫背でガニ股という一見残念キャラのマンジェロだが、実はマスクを外すとかなりの美形。

 そんな彼が「きぇーっ!」と叫んだり、「俺様の美しい顔が」と声を震わせるシーンなどで、若さを感じる甲高い声が印象的だった。

 また、OVA『銀河英雄伝説』でヤン艦隊の副参謀長フョードル・パトリチェフ役も、塩屋さんの良さを実感したキャラクターといえるだろう。豪放で小さなことにはこだわらない巨漢の彼を、張りのある低音ボイスで演じていた。

 特に第82話「魔術師、還らず」では刺客からヤンを守るために前に立ち塞がり、その巨体に無数の銃弾を受けながら「よせよ、痛いじゃないかね……」と笑みを浮かべてささやくシーンは忘れられない。明らかに致命傷を受けたにもかかわらず、パトリチェフらしさがあふれる塩屋さんの穏やかな口調に、思わず涙したファンは多いのではないだろうか。


 X(旧Twitter)では、塩屋さんの突然の訃報に多くの仲間やファンから悲しみの声が寄せられている。

 古川登志夫さんは「魔人ブウ………が……。若き頃より、いつも一緒に歩んできた、僕の行くアニメスタジオにはいつもいた印象のお兄ちゃん」とコメント。森功至さんは「また一人、この世を去った。僕より一つ年下。塩屋翼のお兄ちゃん、塩屋浩三。正義感の強い熱き男だった。寂しいよ」と、さまざまな名作で共演した塩屋さんの死を悼んだ。

 また『ワールドトリガー』アニメ公式アカウントは「鬼怒田室長を演じてくださり、ありがとうございました」と、追悼文とともに役柄への感謝を述べている。

 おじさんキャラからクセ強キャラ、そして凶悪キャラなのに、どこか憎めない……。そんな味のあるキャラクターをたくさん演じてきた名優・塩屋浩三さんのご冥福を心よりお祈りしたい。

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