■伝説の武神を凌駕した渋川剛気の「合気」
板垣恵介氏による『刃牙』シリーズ(秋田書店)の老人キャラの代表格が、初登場時75歳の年齢でありながら現役武闘家として活躍し続けている渋川剛気だ。
渋川の最強シーンはいくつもあるが、特に衝撃を受けたのが空手家・愚地独歩との戦いだ。独歩といえばこれまで何人もの猛者を倒し、あの“地上最強の生物”範馬勇次郎とも対等に話せる数少ない人物である。
“武神”とまで称されるメインキャラのひとりである独歩が、最大トーナメントにて渋川と試合をすることになった時、多くの人が独歩の勝利を予想したことだろう。しかし、独歩のあらゆる攻撃は見切られ、華麗に返され、手玉に取られてしまう。
追い詰められた独歩は、切り札としてとっておいた“菩薩像の拳の形による正拳突き”を繰り出した。この技はヒットしたものの、渋川はそれだけでは倒れなかった。その後も渾身の一撃を放とうとする独歩の動きを見切り、相手の力を利用する「合気」で反撃してみせる。
こうして、大会最高齢かつ最軽量の渋川老人は、独歩を相手にまさかの勝利をおさめた。しかも、敗れた独歩に対して「あと20年は現役でいる」と再戦を受けて立つ姿勢がたまらなくかっこよかった。
ちなみに『刃牙』シリーズには、実は渋川剛気よりも高齢なスペックや郭海皇というバケモノじみた老人たちも登場するので、強い老人の活躍を見たい人は必見だ。
■土方歳三、大量の敵を圧倒
野田サトル氏による『ゴールデンカムイ』(集英社)の「刺青囚人」の1人・土方歳三は、作中でもトップクラスの強さを誇る。土方といえば幕末を生きた新撰組の副長で、数々の伝説を残している。史実では函館戦争で命を落としたが、本作では実は生き残っていた設定となっており、70歳を超えてもいまだ現役だ。
彼の活躍シーンで特に印象的だったのが、盗賊団の頭領・渋川善次郎のもとを訪れた時だ。土方は善次郎を仲間に引き入れようとしていたが、一方の相手は殺す気満々である。そして両者の交渉が決裂した瞬間、土方は「皆殺しだッ‼」と叫んで相手を次々と切り倒していく。
日本刀とライフルを同時に使いこなし、大量の敵を次々と倒していく様はまるで鬼神のようだった。その強さは、「不敗の牛山」と称される柔道家・牛山辰馬も、思わず冷や汗をかいてしまうほどである。
老体ながら刀を振るう肉体的な強さはもちろん、怒号を発する時の気迫も半端ではない。やはり“鬼の副長”の異名は伊達ではないようだ。
強すぎる老人キャラには、ただならぬ雰囲気が漂っており、格の違いを見せつけられる。若者たちのような勢いはなくとも、その存在感と実力は圧倒的だ。
また、「殺しても死なない」という言葉がぴったりな彼らが、一体どのような最期を迎えるのか、その華々しい人生の結末もつい気になってしまう。やはり生涯現役を貫き通し、最期の瞬間まで戦い続けてほしいものだ。


