放送25周年を迎え、最新シーズンであるseason24が放送中の『相棒』(テレビ朝日系)。これまで作中で描かれてきたエピソードは多岐にわたり、単なる“勧善懲悪”にはおさまりきらない奥深さも魅力だ。
中でも、特に視聴者の記憶に強く刻まれるのが、“どんでん返し”のあるエピソードだろう。その予想の斜め上をいく展開、何もかもがひっくり返されるラストによって、『相棒』ワールドに魅了された人も多いはずだ。今回は、その中から特に印象的だった回を振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■伝説の“どんでん返し回”
season4第9話「冤罪」は、篠宮ゆかりという女性が「人を殺しました」と出頭してきたことから始まる。聴取を担当した刑事・安城雄二を中心に、すぐさま捜査が進められた。ゆかりは敏腕弁護士・室園悦子に依頼をしており、送検前から早くも裁判の準備が整っていた。
その用意周到さに違和感を抱いた杉下右京も、独自に捜査を進めていく。そんな中、ゆかりの兄・彬が殺人犯だったと判明。彼は金子祐介という男を殺した罪で逮捕され、冤罪を訴えながらも拘置所で命を落としていた。
当時彬の取調官だったのが安城刑事で、彼を起訴したのは検事時代の室園。さらに、ゆかりが殺した青木由紀男こそが金子殺害事件の真犯人だと発覚する。ゆかりの逮捕から起訴までが異例のスピードで進んだ上、その罪状が殺人ではなく傷害致死とされていたことも、妙に怪しい。
特命係は、彬の冤罪をとがめない代わりに“復讐殺人”の罪を軽くする、という裏取引が安城、室園、ゆかりの間でおこなわれたと推測。しかし、これといった証拠もなく身動きがとれないまま1ヶ月後が経ち、裁判の日がやってくる。そこでゆかりは衝撃発言を放つ。
ゆかりは青木が真犯人だという事実を安城に教えてもらったと言い、「青木を殺しても、傷害致死で送検してやると言ってくれました」と証言した。おまけに、室園についても「必ず、執行猶予をつけるって言ってくれたんですよね」と暴露する。
こうしてゆかりは刑事と弁護士、さらには裁判そのものをコケにし、復讐を果たした。ここまででも十分に衝撃的なエピソードだが、なんとその先には“本当のどんでん返し”が待っていた。
右京が言うには、ゆかりが話したことはすべて作り話である可能性も否定できない。「篠宮ゆかりが安城刑事と室園弁護士を“冤罪”に仕立て上げたのだとしたら……」。そんな疑念とともに、このエピソードは幕を閉じるのだった。
■不運の先に待っていた本当の絶望
後の2代目女将・月本幸子がキーパーソンとなるseason6第11話「ついている女」は、2話連続エピソードの前半部分にあたる。そのラストには、特命係にとっても視聴者にとってもショッキングな伏線回収が待っていた。
幸子はseason4第19話「ついてない女」で、暴力団の大物・向島茂の殺人未遂で逮捕されている。これは夫を殺されたことに対する復讐であり、幸子自身は決して凶悪な人間ではなかった。
そのため、模範囚として認められて早期に釈放されるのも夢ではなかった。しかし、ある日の移送中に何者かの襲撃を受け、台湾マフィアのボスの娘・吉井春麗とともに脱獄囚となってしまう。幸子は春麗の脱獄計画に巻き込まれ、またもや“ついてない女”ぶりを発揮することになったのだ。
しかし、一連の計画には裏があった。春麗は父親が脱獄の手引きをしてくれたと勘違いしていたが、それは誤り。なんと裏で糸を引いていたのは向島だった。彼は事件の後遺症で車椅子生活になっており、幸子への復讐を果たすために春麗を隠れ蓑として利用した。つまり、巻き込まれたのは幸子ではなく春麗のほうだったのだ。
向島を目の当たりにした幸子は腰を抜かし、絶望の涙を流す。彼女を追い詰める向島の表情は不気味そのもので、視聴者にもかつての恐怖を思い出させたはずだ。ただ単に脱獄計画に巻き込まれただけでも不運だが、その先に本当の絶望が待っているとは、誰も思いもしなかっただろう。


