黒ずくめの組織を破滅させる重要ワード!? 『名探偵コナン』の「シルバーブレット」が意味するものとはの画像
青山剛昌『名探偵コナン 赤井秀一セレクション』 (少年サンデーコミックススペシャル)

 青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は、数々の事件解決に加え、「黒ずくめの組織」との対決も物語の軸となっている。組織の真の目的や「APTX4869」の開発意図など、その全貌はいまだ謎に包まれている。

 そんな組織との戦いで重要な役割を担うとみられるのが、「シルバーブレット」だ。組織の一員・ベルモットが江戸川コナン(工藤新一)を指して使う言葉として有名だが、実は他の場面でも重要な意味を持って使用されている。

 今回は、この「シルバーブレット」というワードが何を指しているのか、そしてこの呼び名にどのような意味が込められているのかを解説する。

 

※本記事には作品の内容を含みます 

■あの方にとっての「シルバーブレット」

 作中では「シルバーブレット」について、「狼男の息の根を止める唯一の武器」「魔除けの酒」と説明されている。実際、古来より“銀”は魔除けの効果があるとされており、銀製の弾丸は多くのフィクション作品で悪魔や化物に対する切り札として描かれてきた。

 本作で最初に「シルバーブレット」と呼ばれたのは、FBI捜査官の赤井秀一である。彼をそう呼ぶのは黒ずくめの組織のトップである「あの方」であり、その事実はコミックス第42巻に収録された「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」におけるジンとベルモットの会話で明らかになった。

 ベルモットは自身に深手を負わせた赤井について、「ボスが我々のシルバーブレットになるかもしれないと恐れているあの男」と表現する。対するジンは「我々を一撃で破滅させられる銀の弾丸(シルバーブレット)なんざ存在しねぇよ…」と一蹴したが、このやり取りから「あの方」が赤井を相当な脅威と認識していることがわかる。

 「あの方」が赤井をそこまで危険視する理由としては、彼自身の卓越した能力はもちろん、彼の父親である赤井務武の存在も関係しているのかもしれない。務武は組織のNo.2であるラムと因縁があるとみられるが、その詳細は現時点では不明だ。

 いずれにせよ、赤井が組織を打ち崩すためのキーパーソンであることは間違いないだろう。

■ベルモットにとっての「シルバーブレット」

 冒頭でも触れたとおり、ベルモットにとっての「シルバーブレット」は新一(コナン)だ。

 彼女が新一をそう呼ぶようになった背景には、彼が幼児化する前にニューヨークで起きた出来事が関係している。その顛末は、コミックス第34、35巻収録の「工藤新一NY[ニューヨーク]の事件」で描かれている。

 赤井抹殺のために通り魔に扮していたベルモットは、新一と毛利蘭に遭遇し、口封じのために2人を殺害しようとした。しかし、まさにその瞬間背後の柵が壊れ、高所から落下しそうになる。すると蘭はとっさに手を伸ばし、手を貸した新一とともに彼女のことを引っ張り上げた。

 自分を殺そうとした相手を迷わず助けた蘭、そして「人が人を助ける理由に論理的な思考は存在しない」と言い放った新一。そんな2人の姿に心を動かされたベルモットは、いつしか新一を「クールガイ」、蘭を「エンジェル」と呼ぶようになる。

 さらに、「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」では、上述のジンとの会話を受け、コナンを思い浮かべながら「彼なら長い間待ち望んだ銀の弾丸(シルバーブレット)になれるかもしれない」と心の中で呟いていた。

 コミックス第58、59巻収録の「赤と黒のクラッシュ殉職[嫌疑/潔白/決死/殉職]」でも、「シルバーブレットは… 1発あれば十分よ…」というベルモットのモノローグがあり、彼女がいかにコナンを重要視しているかがうかがえる。

 気になるのは、本来組織の脅威であるはずの「シルバーブレット」を、ベルモットが肯定的な意味で口にしている点だ。組織に所属する彼女が、なぜその崩壊を望むような素振りを見せるのか。ただ破壊してほしいだけならコナンだろうと赤井だろうとかまわないはずだが、なぜコナンにこだわるのか。その謎に包まれた真意は、今後明かされていくことだろう。

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