子どもの頃に登場したキャラクターが、物語の進行や後日談で成長した姿を見せることは、漫画やアニメの定番の演出だろう。しかし、その変化があまりにも劇的で、「え、誰!?」と思わず二度見してしまうほど、かつての面影をなくしてしまうキャラクターも少なくない。
可愛らしい少年が、時を経て凛々しい青年へ。どこか頼りなかった少年が、読者の心を鷲掴みにするほどの美男子へ……。見た目はもちろん、心も大きく成長した彼らの姿は、読者に驚きと感動を与えてくれるものだ。
今回は、そんな「大人になって激変した」漫画キャラクターたちを振り返っていきたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■おしゃぶり姿のまま凛々しい青年へ『幽☆遊☆白書』コエンマ
1990年から1994年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、冨樫義博さんの『幽☆遊☆白書』。本作に登場するコエンマといえば、おしゃぶりをくわえた幼児の姿が印象深いキャラクターだ。
霊界を統べるエンマ大王の息子で、その実年齢は700歳を超える。だが、それにもかかわらず見た目は完全に赤ん坊そのもので、登場当初はどこか頼りなくマスコット的な可愛らしい存在として描かれていた。
ところが、物語中盤で登場した青年姿のコエンマは、読者の想像を軽々と超えるものだった。
すらりとした長身に整った顔立ちに、落ち着いた佇まい。幼児時代の唯一の名残であるおしゃぶりこそ残しているものの、その雰囲気は一変。そこには、威厳と覚悟を兼ね備えた“霊界を背負う者”としての姿があった。
この変貌は、単なる外見の変化だけではない。物語後半では、父・エンマ大王の不正を暴く決断をし、霊界改革へ踏み出す姿が描かれており、コエンマの内面的な成長を強く印象づけた。
長い年月を生き、霊界の未来を考え続けてきた彼の本質が、その凜々しい外見からもにじみ出るようになったのである。そのギャップと説得力こそが多くの読者を驚かせ、魅了した理由だろう。
■再登場が衝撃と感動を呼んだ革命軍幹部『ONE PIECE』サボ
1997年から連載が続く尾田栄一郎さんの『ONE PIECE』からは、主人公のモンキー・D・ルフィの義兄であるサボを挙げたい。
子どもの頃から端正な顔立ちが印象的なサボは、冷静な判断力を持ちながらも自由を求めるどこかやんちゃさの残る少年であった。また、貴族として生まれた自らの出自に反発し、深い葛藤を抱えている繊細な心を持ち合わせたキャラクターだ。
そんな彼はある事件によって命を落としたと思われていたが、「ドレスローザ編」で再登場を果たす。その姿は、まさに“激変”だった。
高身長で引き締まった体格、鋭さを秘めた眼差しと落ち着いた物腰。かつての面影を残しつつも、そこには確固たる意志を持つ大人の男がいた。さらに、亡き義兄ポートガス・D・エースの能力である「メラメラの実」を受け継いだことで、圧倒的な戦闘力とカリスマ性を兼ね備えた存在へとなったのである。
読者を驚かせたのは、そのビジュアルの変化だけではない。エースを失い、「もう兄弟はいない」と悲しみに暮れていたルフィの前に、頼れる兄貴分として帰ってきたのだ。この劇的な展開そのものが、大きな衝撃と感動を呼んだ。2人の再会の場面は作中屈指の名シーンだろう。
ルフィやエースとは異なる“知性と覚悟”を備えたサボは、革命軍の参謀総長(No.2)という重責を担う。だが、それでいて、ルフィにとっては背中を預けられる優しい兄であることに変わりはない。
その立ち位置と成長の描かれ方が、サボを「大人になって激変したキャラクター」として、より魅力的な存在へと押し上げたのだ。


