正直住みたくない! 『名探偵コナン』米花町に『ひぐらしのなく頃に』雛見沢村、『ジョジョの奇妙な冒険』杜王町も…漫画・アニメに登場する「あまりにもヤバい架空の街」の画像
青山剛昌 『名探偵コナン 1 SPECIAL』(少年サンデーコミックス)

 漫画やアニメを観ているとき、我々はいつの間にかその世界へと没入していく。「もしも自分があの世界の住人だったら」と想像するのはファンにとって至福の時間ではあるが、物語の舞台となる「街」が、現実の物差しでは測りきれないほど「ヤバすぎる場所」であることも少なくない。

 今回は、多くのファンから「正直住みたくない」と評されながらも、魅力を放つ街を厳選して紹介したい。あれだけ危険だと知りながら、なぜその街の引力に惹きつけられてしまうのだろうか。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■殺人発生率6000倍!?『名探偵コナン』米花町

 まずは、青山剛昌氏の『名探偵コナン』から、主人公・江戸川コナン(工藤新一)や毛利蘭が暮らす「米花町(べいかちょう)」を紹介したい。

 米花町は、東京都米花市に位置する都内の一等地に相当する。町内には「帝丹小学校」から大学までの教育機関が完備され、商店街やデパート、複数の総合病院までそろっている。インフラ面だけを見れば、非の打ち所がない極上の生活環境と言えるだろう。

 さらに広域の米花市内を見渡せば、新一が蘭とデートに訪れ、江戸川コナンへと姿を変えた「トロピカルランド」や「日売テレビ」本社までもが鎮座する。シティライフを満喫し、喫茶店「ポアロ」でくつろぎながら、ふと2階の「毛利探偵事務所」を見上げる……そんな日常はファンの憧れだ。

 しかし、その理想的な生活環境とは裏腹に、凄惨な事件が絶え間なく繰り返される、文字通り「事件多発地帯」なのだ。

 「世界一危険な街」となかば愛着を込めて呼ばれる米花町では、数日に一度(作中時間ではさらに高頻度)のペースで凄惨な事件が発生。些細な動機、あるいは長年抱え続けた深い恨みから、隣人が突如として凶器を手に取る。時には大型施設がテロの標的になる光景も珍しくはないのだ。

 2017年刊行の『青山剛昌30周年本』によれば、コミックス93巻時点での累計死者数は247人に達するという。作中の経過時間がわずか半年強であることを踏まえると、殺人発生率は日本平均の約6000倍という計算だ。

 いざ引っ越しを検討し、事故物件を集めた情報サイトで米花町を検索すれば、炎のアイコンで埋め尽くされた地図に度肝を抜かれるに違いない。

■疑心暗鬼が牙を剥く閉鎖コミュニティ『ひぐらしのなく頃に』雛見沢村

 続いては、同人サークル「07th Expansion」のゲームを原作として製作された『ひぐらしのなく頃に』の舞台、「雛見沢村(ひなみざわむら)」だ。

 人口は約2000人。都会の喧騒から切り離され、豊かな自然に囲まれたこの地には、“ひぐらし”の鳴き声が響く日本の原風景が広がる。学校の仲間たちは転校生に対して驚くほど温かい。

 年に一度「古手神社」では賑やかな屋台が並ぶ「綿流し」という祭りが開催され、隣町には比較的開けた市街地である「興宮(おきのみや)」も存在する。スローライフを志向する者にとって、これほど魅力的な移住先はないようにも思える。

 しかしその実態は、一度足を踏み入れれば最後、底なしの疑心暗鬼に呑み込まれる魔境である。タイムリープによって物語が幾重にも繰り返される本作だが、そのすべての運命において、不可解な連続怪死事件が幕を開けるのだ。

 その恐ろしさの根底にあるのは、土着の執念とともに脈々と受け継がれる「オヤシロさま信仰」だ。さらに、雛見沢村という小さなコミュニティが持つ強固な「団結力」が、ひとたび反転した際に生じさせる激しい「排他性」。外部の人間には決して窺い知ることのできない村独自の掟と暗い歴史が、深くて重い根を張っている。

 昨日まで笑顔で接してくれた友だちが、ある世界線では自分を殺そうと襲いかかり、また別の世界線では自分自身が彼らに刃を向ける側に回ってしまう。いつどこで犯罪に巻き込まれるか分からない米花町の“治安の悪さ”とはまた異なる、内側から精神を蝕んでいくような心理的恐怖が、雛見沢村には潜んでいるのだ。

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