街がイルミネーションで華やかに彩られ、クリスマスムードが高まるこの季節。ふと耳に入ってくるクリスマスソングがきっかけで、かつて夢中になったテレビドラマのワンシーンが蘇る……そんな経験はないだろうか?
1990年代から2000年代にかけて、冬ドラマの定番といえば、クリスマスを題材にした恋愛ドラマだった。それらの作品にはいずれも「名曲」が寄り添い、ドラマの内容を大いに盛り上げてくれた。
ここでは、クリスマスシーズンになると思わず見返したくなる、主題歌と共に大ヒットした懐かしの名作ドラマを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■切ないバラードがドラマを盛り上げた『クリスマス・イヴ』
バブル景気の余韻が残る1990年にTBS系列で放送された『クリスマス・イヴ』は、タイトル通りクリスマスにおける男女の恋模様を描いた王道のラブストーリーだ。
主演の銀行員OL・河合雪子を演じたのは仙道敦子、その相手役である藤井剛を演じたのは吉田栄作だ。
本作は、華やかな都会のクリスマスを背景に、銀行で働く男女の複雑にすれ違う恋模様を描いている。そして、このドラマを語る上で外せないのが、辛島美登里が歌う主題歌『サイレント・イヴ』である。
透き通るような歌声で紡がれる切ない歌詞は、ドラマのクライマックスシーンと完璧にシンクロし、多くの視聴者に強いインパクトを与えた。ちなみにこの楽曲は、恋人との別れを決意した切ない女性の恋心を歌っているが、ドラマ自体はハッピーエンドを迎えている。
『サイレント・イヴ』は当時のオリコンチャートで第1位を獲得する大ヒットを記録し、今なおクリスマスの定番バラードとして愛され続けている。
■歌詞と物語がリンクする『ホームワーク』
1992年にTBS系列で放送された『ホームワーク』は、同棲するカップルたちが恋愛や仕事を通して悩み、成長していく姿を描いたドラマである。主人公の森田圭介を唐沢寿明、その相手となる竹永幸子を清水美砂(現:清水美沙)が演じた。
物語は、映画業界を目指す圭介と恋人の水野うらん(浦江アキコ)、そしてフリーターの滝本周二(福山雅治)と清水さん演じる幸子による2組の同棲カップルを中心に展開。それぞれが「宿題」ともいえる人生の課題と向き合っていく中、2カップルにおける複雑に交錯する四角関係も見どころだった。
本作はクリスマスシーズンだけに向けた恋愛ドラマではないものの、主題歌によってクリスマスの印象が強く残る作品となった。その楽曲こそが、稲垣潤一が歌う『クリスマスキャロルの頃には』である。
独特の少し憂いを帯びたメロディと曲名である『クリスマスキャロルの頃には』というフレーズは「聖夜までに2人の関係はどうなるのか?」というドラマ展開と見事にマッチしていた。ドラマをリアルタイムで見ていなかった世代にとっても、誰もが1度は聞いたことがあるであろう名曲だ。
ちなみに、この楽曲は発売から32年の時を経た2024年、初めてミュージックビデオが企画・制作されたことでも話題を呼んだ。


