やっぱりヒロインがお似合い!『ルナティック雑技団』天湖森夜に『花より男子』道明寺司、『NANA』一ノ瀬巧も…人気少女漫画の「付き合ったら大変そうな男性キャラ」の画像
DVD-BOX TVアニメ『花より男子』VOL.2(東映)(C)神尾葉子/集英社・東映アニメーション

 かつて人気を博した少女漫画には、現実ではなかなかお目にかかれないような魅力的な男性キャラクター、いわゆる「プリンス」が数多く登場する。漫画を読み進めるうちに「もしこんな素敵な彼と付き合えたら……」と、憧れた読者も少なくないだろう。

 しかし、大人になった今、改めて彼らを振り返ってみると、それぞれ複雑な事情を抱えていたり、とても気難しいキャラクターも多いことに気づかされる。もし仮に現実世界で彼らと付き合うとしたら、相当な覚悟が必要ではないかとも思うのだ。

 ここでは、往年の少女漫画に登場したキャラクターの中から、ルックスは抜群ながら、実際に付き合ったら苦労が絶えなさそうな男性キャラクターをピックアップして振り返っていきたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■天然すぎる奇行に振り回されっぱなし『ルナティック雑技団』天湖森夜

 まずは、1992年から『りぼん』(集英社)にて連載された、岡田あーみん氏のギャグ漫画『ルナティック雑技団』を紹介したい。

 本作は憧れの同級生の家に下宿することになった女子中学生・星野夢実を主人公としたラブコメディ作品だ。その夢実が憧れるプリンスこそ、同級生の天湖森夜である。

 容姿端麗な森夜は類まれなるカリスマ性の持ち主で、その目で見つめられたら嬉しさと衝撃のあまり卒倒してしまうほどである。まさに「学校の王子様」を体現している森夜だが、その性格は常人の理解を遥かに超える行動、そして無自覚な天然ぶりで、常に他者を振り回し続ける。

 例えば、森夜はその圧倒的なカリスマ性ゆえに周囲から距離を置かれているのだが、それを本人は“自分がよほど嫌われている”と思い込み、夢実にまで害が及ばないよう彼女を遠ざけようとする。

 また、修学旅行先でアクシデントから夢実とキスをしてしまった際には、嬉しさのあまり涙する彼女を見て“キスがよほど嫌だったのだ”と勘違い。あろうころか水を取りに行き、“キスによって粘膜が浸透しないうちに水でうがいをしろ”と強要するのである。

 このように森夜は思い込みが激しく、世間一般の常識が一切通用しない。彼にとっての現実世界は自身の内なる独特の論理で構築されているため、ごく普通のデートをするのも難しいのである。

 もしそんな森夜と付き合うとしたら、彼の奇抜な行動の数々に振り回され、後始末に追われる日々を送ることになるのは想像に難くない。平穏な交際を求める人は疲れてしまうかもしれない。

■常に権力と危険がつきまとう『花より男子』道明寺司

 続いては、1992年に『マーガレット』(集英社)で連載が開始された神尾葉子氏による『花より男子』から。本作には、学園を牛耳る華麗なる美男子4人組「F4」が登場するが、その中でも特に強烈な個性を持つのが、そのリーダーである道明寺司だ。彼は、主人公・牧野つくしと恋に落ちる重要人物でもある。

 道明寺財閥の御曹司である司は、自己中心的で喧嘩っ早く、金銭的にかなり恵まれていたからか一般常識もあまりない。それでも庶民であるつくしと付き合う中で徐々に人間的な成長を遂げ、性格も穏やかになっていくのだが、過去の傍若無人な振る舞いが原因で、周囲からの恨みや嫌がらせが絶えないのだ。

 例えば、コミックス15巻では、司に恨みを持つモデル・織部順平が登場する。順平はつくしをおとりにして司をおびき出すと、仲間と共に一方的に暴行を振るう。この時、司はつくしを守るために無抵抗を貫くという愛情を見せるものの、彼の強引さや短気な性格が災いし、その後もつくしは何かと事件に巻き込まれていくのである。

 また、大財閥の御曹司である司を取り巻くのは、似たような人間ばかりであり、一般人が交流を持つには何かとハードルが高い。つくしのように逆境にもめげない強い女性が隣にいるのは納得だが、ごく普通の高校生や社会人が司と平和に暮らしていくのは難しいだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3