アニメや漫画の世界に登場する容姿端麗で魅力的な女性キャラクターたち。彼女たちはその華やかさで彩りを加え、より一層、観る者を物語の世界に引き込んでくれる存在だ。
だが、中には普段の可憐な見た目とは裏腹に、一度怒ると手が付けられなくなるような強烈なギャップを持つキャラクターもいる。
彼女たちのそんなギャップは、物語に予測不能な緊張感やスリルをもたらす。そのギャップが大きければ大きいほど、その豹変ぶりは際立ち、この先の展開から目が離せなくなるものだ。
そこで今回は、普段は可愛くて大人しそうなのに、一度ブチギレると何をするか分からない女性キャラクターたちのギャップを振り返っていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■カボチャを素手で粉砕…『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー
遠藤達哉氏による漫画『SPY×FAMILY』(集英社)に登場するヨル・フォージャー(旧姓:ブライア)は、表向きには物腰が柔らかく、おっとりとした市役所の事務職員である。その容姿や受け答えだけを見ると、彼女が裏の顔を持つことなどまったく想像できない。
しかし、その正体は、暗殺秘密組織「ガーデン」に属する凄腕の殺し屋だ。依頼がくると、何の感情も見せずに容赦なく標的を始末する。
そんなヨルは、任務のために偽物の家族を作ろうとしていたスパイのロイド・フォージャーと利害が一致し、娘・アーニャの母親役を務めることになる。偽りの家族でありながら、ヨルは2人と暮らすうちに心からの喜びを見出していく。殺し屋ということを除けば、彼女はごく普通の心優しく可愛らしい女性なのだ。
ヨルは本来温厚で、理不尽なことをされても怒ることはなく、むしろ自分が悪くなくても謝ってしまうほど控えめなタイプだ。しかし彼女は守るべき存在を得たことで、“怒り”という感情をはっきりと表に出すようになる。そのきっかけが、アーニャに危険が及んだときのことである。
アーニャを狙い、連れ去ろうとしたチンピラたちを発見するやいなや、いきなり買い物袋で殴り倒し、さらに別の男が手にしたカボチャを投げようとしたところ、それを素手で粉砕。人間離れした戦闘力を披露した。
その場にいた全員を殺すかのような目つき、とんでもない攻撃を見せるヨルに男たちは恐怖し、そのまま逃げ去ってしまった。
冷戦沈着な殺し屋としてのヨル以上に、愛する者を守るために我を忘れて激昂する彼女の姿は、何をするのか全く予想がつかない恐ろしさを秘めていた。
■エレンを守るためなら…『進撃の巨人』ミカサ・アッカーマン
諫山創氏による『進撃の巨人』(講談社)に登場するミカサ・アッカーマンも、怒りによって豹変するキャラクターの1人である。彼女は類いまれなる戦闘力を持ちながらも、普段は口数が少なく、感情をあまり表に出さないクールな性格だ。
そんなミカサだが、家族として共に過ごしてきたエレン・イェーガーのこととなると、心を動かされてしまう。エレンに危害が及んだり、彼が他の女性に特別な関心を持ったりすると、ミカサは激しい感情をあらわにするのだ。
特にその恐ろしさが際立つシーンが、仲間を裏切ったアニ・レオンハートが「女型の巨人」としてエレンの前に立ちはだかったシーンだ。
仲間であったアニとの戦いを躊躇する様子のエレンに対し、ミカサは彼がアニに特別な感情を抱いているのではないかと疑う。そして、恐ろしい目で睨みつけ「あなたの班員を殺したのはあの女でしょ?」と、冷たく問い詰めるのだ。
その表情は殺意に満ちており、まるでホラー映画のワンシーンのような雰囲気を醸し出していた。彼女の怒りの矛先は、アニへとまっすぐに向けられていたのである。
この他にも、兵士長であるリヴァイ・アッカーマンが口論からエレンを蹴り飛ばした際には、今にも殺さんばかりで襲いかかったりもしている。エレンを守るためなら、相手が誰であろうと容赦しないのだ。
普段のクールな姿からは想像もつかないほどの暴走は、ミカサのエレンに対する愛情の裏返しでもある。このギャップがあるからこそ、彼女がより魅力的なキャラクターとして観る者に強い印象を残すのであろう。


