■シオン・ザバが流派・東方不敗を会得!?
最後に、ぶっとんだクロスオーバーをもうひとつ紹介しておきたい。なんとOVA『聖戦士ダンバイン New Story of AURA BATTLER Dunbine』の主人公シオン・ザバが、『機動武闘伝Gガンダム』に登場する東方不敗マスター・アジアによる「流派・東方不敗」の動きを継承しているという、とんでもない展開が描かれている。
『ダンバイン』と『Gガンダム』は世界観も作品のノリもまったく異なるが、その作品同士がこれほど密接に絡み合うとは、誰が予想できただろうか。
なお、『New Story of AURA BATTLER Dunbine』は『聖戦士ダンバイン』の700年後を描いた作品で、『スパロボY』の中でも未来の世界として描かれている。つまり700年後のバイストン・ウェルで、なぜか流派・東方不敗が広まっていることを意味する。
この組み合わせのクロスオーバーには驚かされたが、実際にとんでもなかったのは流派・東方不敗の祖である、東方不敗マスター・アジアその人だ。
『スパロボY』の物語上ではすでに故人だった東方不敗が、死亡直後にDG細胞に取り込まれており、その衝撃で蘇生。さらに一度死亡したためバイストン・ウェルに召喚され、その過程でなぜかDG細胞は浄化されている。
その後、バイストン・ウェルで流派・東方不敗を広めていくが、闘争心があふれすぎた東方不敗は、フェラリオの長であるジャコバ・アオンによって、再び地上に送り返される。これがシオンが流派・東方不敗の流れを汲んでいた理由である。
東方不敗の「何でもあり感」は今に始まったことではないが、『スパロボY』の中でも相当なトンデモ展開だった。もはや開発陣にいいように使われている気すらしてくるが、それでも「まぁ東方不敗だしな……」と、プレイヤーサイドも妙に納得させられてしまうのも事実である。
クロスオーバーは『スパロボ』の醍醐味ではあるが、実際のところ、その“さじ加減"はかなり難しそうだ。やりすぎると世界観の崩壊につながり、少なすぎると『スパロボ』らしさが薄れる。個人的には思い切ったクロスオーバーが好みだが、『スパロボY』の内容はちょうどよく、かなり楽しめるものだった。
「UI」の面など一部改善を希望したい点はあるものの、歴代シリーズを遊んできた筆者にとって『スパロボY』は十分満足できる内容だった。もし買い控えているという人がいたら、この年末年始にでも『スパロボY』ならではのクロスオーバーを、その目で実際に確かめてみてはいかがだろうか。


