2025年8月28日に発売された『スーパーロボット大戦Y』(バンダイナムコエンターテインメント)は、シリーズとしては、前作『スパロボ30』から4年ぶりの新作となった。
発売前からいろいろな憶測が飛び交い、参戦作品の構成などから「2部作になるのでは?」などと話題を呼んだ作品である。
久々の新作ということで、発売前には不安視する声も少なくなかったように思うが、発売から約3か月が経った現在、クリアしたファンからは「かなりの良作」という感想も多く見られる。歴代シリーズをプレイしてきた筆者も3周ほどプレイし、かなり満足度の高いタイトルだと感じた。
特にストーリーやゲーム内の設定は、往年の『スパロボ』を思い出させてくれるノリが多く、シリーズファンの筆者としては随所で懐かしい感情があふれた。
そのなかでも、作品の垣根を超えた大胆なクロスオーバーには感心させられた。そこで今回は『スパロボY』で驚かされた、インパクトのあったユニークなクロスオーバーを3つ紹介したい。
※本記事には、『スパロボY』の核心部分の内容も含みます。
■精神崩壊からまさかの展開…カミーユが聖戦士に任命!?
今作『スパロボY』では『機動戦士Zガンダム』のカミーユ・ビダン、『重戦機エルガイム』のダバ・マイロード、『聖戦士ダンバイン』のショウ・ザマが仲良しで、頻繁に絡む場面が見られた。
『エルガイム』は前作『スパロボ30』(2021年発売)に参戦、『ダンバイン』も比較的新しい『スパロボT』(2019年発売)に参戦していたため、絡みがあったように思えるが、実はこの3人が揃うのは1997年に発売された『スーパーロボット大戦F』以来となる。実に約28年ぶりとなる再会に、おじさんプレイヤーの筆者は目頭が熱くなった。
この3人が使命を果たすために困難に立ち向かう様子は、かつての『スパロボ』シリーズを思い起こさせる。しかも、とあるイベントでは、カミーユとダバまでもが聖戦士に任命されるという衝撃展開が描かれるのだ。
『ダンバイン』において「聖戦士」とは、とても重要な意味を持つ称号。それが作品の垣根を飛び越えたことに驚かされ、同時にワクワクさせられる演出だった。個人的には『機動戦士Zガンダム』が好きなので、カミーユが報われた感じがしてうれしく思えた。
なお『スパロボY』では『Zガンダム』のストーリーは完結しているため、カミーユもあの精神崩壊から回復した状態で登場している。そんなカミーユの覚悟が認められ、地上を導く存在としてショウやダバと共闘する流れは、まさに胸熱なクロスオーバーだった。
■木星帰りの男・シロッコがまさかの凶行に…
『スパロボY』の発売前に公開された第3弾PVで、パプテマス・シロッコの姿が見えたとき、個人的には結構な驚きがあった。いわば『Zガンダム』のラスボスであるにもかかわらず、『スパロボ』シリーズでは意外とシロッコの出番が少ないからだ。
しかし、本当に驚かされたのは『スパロボY』本編でのシロッコの行動だ。まさか、あのシロッコが「アクシズ落とし」を敢行するとは思いもよらなかった。
本来アクシズ落としといえば、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』におけるシャア・アズナブルによる所業だ。
しかし『スパロボY』でのシャアは、良き指導者として描かれている。それも歴代シリーズでもまれに見るかっこよさである。
一方『スパロボY』のストーリー終盤に姿を現すシロッコは、依然として「女性による世界の統治」にこだわっており、とある危機から世界を守るためにアクシズ落としを実行する。
もちろん、その凶行は主人公陣営によって阻止され、シロッコは討ち果たされるのだが、それを行うのがカミーユやシャアなのだ。成長したシャアと、成長できなかったシロッコの対比が見事に描かれており、あのシャアがアクシズ落としを止める側に回るのは、なんとも皮肉なシチュエーションである。
ガンダムシリーズではありえない展開ではあるが、こういう大胆な世界線が楽しめるのも『スパロボ』ならでは。この『スパロボY』における宇宙世紀シリーズの幕引きは、非常に印象に残った。


