■リサイクルとフリマの融合! まるでフリマアプリ?「自動買いとり機」
「自動買いとり機」(てんとう虫コミックス29巻)は、不要になったものを瞬時に現金化してくれるひみつ道具である。不用品をこの箱に入れるだけで、商品の状態や買い取り額が査定され、その場で現金を受け取れる仕組みだ。
作中では、ママのお使いの100円でうっかりジュースを買ってしまったのび太が、この道具にジュースを100円で買い取ってもらい、事なきを得るというエピソードが描かれている。
この「自動買いとり機」は現代でいう『メルカリ』などのフリマアプリや、リサイクルサービスの先駆けといえるだろう。ただ、現在のこうしたフリマアプリなどでは個人が商品の価値を出品・査定する手間が必要で、買い取ってもらうまでには時間がかかる。その点、この「自動買いとり機」は査定と現金のやり取りを自動システムで無人化・即時化している点が非常に便利だ。
今後、画像認識などの技術がさらに発展すれば、商品の状態を瞬時に識別することができ、全自動の買い取りサービスが一般化する日も来るかもしれない。
■バーチャル旅行の未来!「Googleストリートビュー」の先駆け「観光ビジョン」
「サハラ砂漠で勉強はできない」(てんとう虫コミックス16巻)のエピソードには「観光ビジョン」というひみつ道具が登場する。この道具は望む場所の風景を360度映し出し、家にいながら違う景色や雰囲気をリアルタイムで体験できる道具だ。これは現代でいう、「Googleストリートビュー」やVR技術の原型のようなものだといえるだろう。
作中では、自室では勉強に集中できないと不満を漏らすのび太に、ドラえもんがこの道具を出し、色々な景色を楽しむ。しかし、よその家ばかり覗いていたずらばかりするのび太に怒ったドラえもんは、最終的に先生がいる部屋の景色を映し出し、のび太は観念して勉強する……というエピソードだった。
このように「観光ビジョン」の問題点は人がいる部屋も映せるため、プライバシーの配慮に欠けることにある。しかしVRゴーグルなどを着用しなくても、自宅で異なる景色を眺められるのは魅力的だ。現在の技術がさらに進化し、いずれ気軽に部屋の景色を変えられるサービスが登場するかもしれない。
こうして振り返ると『ドラえもん』のひみつ道具は単なる空想ではなく、“実現すべき未来図”を示していたとも考えられる。
これからさまざまな技術が開発されるにつれ『ドラえもん』に登場する道具が現実のものとなる例はさらに増えていくだろう。いつか「タイムマシン」や「どこでもドア」といった、これまでの生活を一変するような道具の誕生にも期待したいものである。


