■『スターフォックス』スーファミで初めての3D体験

 スーファミのグラフィックの進化を語る上で、『スターフォックス』の存在は欠かせない。1993年に登場した本作は、スーパーファミコンで本格的な3Dゲームを成立させた歴史的タイトルだ。

 カギとなったのは、ロムカセットに内蔵された「スーパーFXチップ」。これはポリゴン描画を可能にする特殊な演算機能を持ち、ハードの限界を超える空間表現を実現した。ファミコンからスーファミにかけて主流だった2Dドットの世界に対し、『スターフォックス』は画面の中に明確な「距離」と「奥行き」を作ったソフトでもあった。

 目前に迫る建造物、飛来する隕石、編隊を組む味方機。自機「アーウィン」の旋回・急降下といった動きと画面が完全にリンクし、プレイヤーは2Dゲームにはなかった、「空間を操る」という新たな没入感を体験した。

 特に印象深いのが、アステロイドベルトの航行だ。まるで本当に宇宙空間を飛行しているかのような立体的な動きは、従来のシューティングとは一線を画す体験を味わわせてくれた。

 本作の成功があったからこそ、後の『NINTENDO64』による3D進化、さらにはゲーム業界全体の立体表現の加速につながったといっても過言ではないだろう。

■『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』手描きタッチと「スーパーFX」チップによる革新

 『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』は、『スターフォックス』と同じく「スーパーFXチップ」を採用しながらも、まったく異なる表現の方向性を示した傑作だ。

 本作では「リアルさ」や「3D」ではなく、手描き風のビジュアルが追及されている。クレヨンで描いた絵本を思わせる温かみがあり、画面全体がまるで動く紙芝居のようだった。これは単にグラフィックをきれいにしただけでは達成できない、優れたアートディレクションの賜物といえるだろう。

 また、拡大縮小や回転、背景のうねりといった高度な表現も取り入れられている。特に圧巻なのが、ラスボスの「ビッグクッパ」との戦いだ。巨大なクッパが奥から前方へ迫ってくる演出は、本当に画面から出てくるような圧迫感を生み、強烈なインパクトがあった。

 『ヨッシーアイランド』は、スーファミで表現できる「かわいさ」と「技術」を見事に両立させた、稀有なタイトルであった。

 

 今回紹介したソフトは、スーパーファミコンが単なる性能向上にとどまらず、「表現力」をいかに豊かにしたかを示している。それぞれが異なるアプローチでグラフィックの可能性を切り拓き、後のゲーム業界に多大な影響を与えた。スーパーファミコンの時代は、まさに2Dグラフィック表現の黄金期であったといっても過言ではないだろう。

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