数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?
■驚きの高額商品も! スーパーファミコン用シリーズ4作品
ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第23回
『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。以前、カプコンの人気アーケードゲーム『ファイナルファイト』(1989年)を、頭身の低いキャラを使ってアレンジした、ファミリーコンピュータ用『マイティファイナルファイト』(1993年)をご紹介しました。
街を支配する暴力集団を体術で倒しながら進んでいく、ベルトスクロールアクションです。その際にも触れましたが、『ファイナルファイト』の移植版は、すでに1990年にスーパーファミコンで出ていたんですよね。
その大ヒットを受けてか、スーパーファミコンではシリーズ作品が展開されました。そのうち、当店では2作目の『ファイナルファイト・ガイ』(1992年)が箱・取説つきの完品で2万7500円(税込)、4作目の『ファイナルファイト タフ』(1995年)が8万9100円(税込)と、高額商品になっています。
かと思えば、3作目の『ファイナルファイト2』(1993年)は4400円(税込)だったりするんですけどね(笑)。ちなみに初代『ファイナルファイト』は7700円(税込)です。
今回は、初代のバージョン違いとも言える、『ファイナルファイト・ガイ』を中心にお話したいと思います。
■2作目『ファイナルファイト・ガイ』は初回限定特典のCD付き
スーパーファミコンの『ファイナルファイト』を初めて見たのは、かつて任天堂が開催していた「初心会」という、流通業者向けの新作展示会でした。
当時、テクノスジャパンに勤めていた私は、くにおくんシリーズの新作を展示するために参加していたんです。そこで『グラディウスIII』(コナミ)や『ファイナルファイト』といったアーケードゲームの移植版のクオリティを目の当たりにして、「これが家で遊べる時代なんだ!」と驚きました。
ファミコンの時代から、よく「家庭用は別モノ」みたいな言われ方をしていましたが、私にしてみれば、同じと見なしていいレベルでした。
ただ、『ファイナルファイト』はアーケード版と大きな違いがあって、3人のプレイアブルキャラクター……コーディー、ガイ、ハガーのうち、ガイが使えなかったんですよ。さらに、2人同時プレイができない。容量の問題で仕様変更せざるを得なかったのでしょうが、ずいぶん思い切った判断だと感じました。
その後、1年以上経ってから『ファイナルファイト・ガイ』がリリースされました。こちらはガイが使える代わりにコーディーがいないバージョンなんです。
ほかにも細かい違いはあるようですが、基本的には『ファイナルファイト』と同じで、ステージも変わらないし、2人同時プレイもできない。ですから、買った人はあまり多くはないと思います。つまり「販売本数が少ない」というのが、現在高額になっている理由のひとつ。
もうひとつは、初回生産分限定でスペシャルCDという付録が同梱されていたことでしょうか。8センチCDにゲームのBGMが4曲収録されたものなのですが、今の中古市場ではこれが欠品している場合が多いんです。
初回生産分には「スペシャルCD付」というシールが貼ってあったりするんですけど、シールはあってもCDがないものがほとんど。だからこそ完品だと高値が付くというワケです。
もっとも、CDに気付かずに値付けをしているハードオフの店舗もありそうな気がします。「ハードオフあるある」ですね(笑)。掘り出し物を探してみるのも楽しいかもしれません。


