■音楽も映像も最高峰! ゲーム雑誌発の漫画がファミコンになった『魍魎戦記MADARA』

 続いての作品はコナミが1990年に発売したファミコンソフト『魍魎戦記MADARA(コナミ)』です。当時のゲーム雑誌「マル勝ファミコン」(角川書店)にて、田島昭宇先生が連載していた同名コミックがあり、そのマルチメディア展開のひとつとしてゲーム化されました。

 まだ連載が続く中でのゲーム化だったため、原作のストーリーを踏襲しつつオリジナルの結末を迎える物語となっています。コミックでは描かれていない設定などもゲームのほうで再現されており、原作ファンにとってもうれしい部分でした。

 また、ゲームオリジナルのキャラとして那由多(ナユタ)という女の子が登場。能力も高く、ビジュアルも可愛くてお気に入りだったことを覚えています。

 当時、コナミ初の本格RPGという謳い文句で発売され、多少ゲームバランスに難はあったものの、非常に完成度の高い作品でした。「VRC6」という拡張チップが搭載されたことにより、ファミコンとは思えないハイクオリティなサウンドを実現。初めて聴いたときは美しすぎる音色に度肝を抜かれたものです。

 グラフィック面も素晴らしく、ボス登場のアニメーションなどは迫力満点。数は少ないながらも田島昭宇先生の繊細なイラストも見事に表現され、ファミコンの性能限界に挑んだといっても過言ではないタイトルに思えました。

 なお、ファミコン『魍魎戦記MADARA』に続いて、1993年にはスーパーファミコンにて『魍魎戦記MADARA2』が発売されましたが、ストーリー上のつながりはなく、主人公もゲームオリジナルキャラで完全に別物となっています。

 外伝なども含め、コミックは愛蔵版という形で復刻され、電子書籍でも入手できるのでアクセスしやすいのですが、ゲームについては復刻されたことがありません。漫画がイケるならゲームも……と考えてしまうのですが、いつかファミコン版をベースにリメイクされないでしょうか。

■サウンドクリエイターが超豪華すぎたSFRPG『ラグランジュポイント』

 最後に紹介したいのは、『魍魎戦記MADARA』と同じコナミから1991年に発売された『ラグランジュポイント』です。ファミコンとしては珍しく、スペースコロニーが舞台となったSFを題材にしたRPGでした。

 同作のキャラクターデザインは『さすがの猿飛』や『Gu-Guガンモ』、『ギャラリーフェイク』などで知られる細野不二彦先生が担当。発売前から注目を集め、発売後には秀逸なグラフィックやサウンド面のほうでも評価が一気に高まりました。

 サウンドは、コナミのサウンドチーム「コナミ矩形波倶楽部」を中心に、当時大人気だったロックバンド「レベッカ」のメンバーである高橋教之氏や土橋安騎夫氏らが作曲で参加。

 カセットには、FM音源が使用可能な拡張チップ「VRC7」が搭載されたことで、ファミコンの域を超えたサウンドを奏で、ゲームファンの心をわしづかみにしました。

 ちなみにこの拡張チップによる独特のサウンドは、ファミコン互換機では再現できず、実機でしか聞くことができません。それだけに、現行ゲーム機への移植やリメイクを心待ちにしているファンも多い作品ではないでしょうか。

 少々難解な設定やゲームバランスなど気になる点もありましたが、取り巻く環境が成熟した現代であれば、もっと評価されていい名作です。ファミコン末期に登場した作品だけに、実際遊んだことがないという人にもオススメしたい作品です。


 レトロゲームは海外を中心にブームではありますが、ライトな層が今遊びたいと思っても結構なハードルがあります。だからこそ現行のゲームハードでリメイクなどが発表されると話題を集めるのでしょう。

 今回紹介した作品は、知る人ぞ知るファミコンの名作ではありますが、さまざまな事情からリメイクやリマスター化が難しいのかもしれません。それならばファミコン版そのままの移植で構わないので、今遊びやすい環境でプレイできればと願うばかりです。

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