ファミコン「移植もリメイクもされない」幻の傑作たち 復活が熱望される「神ゲー」を振り返る  『天地を喰らう』、『魍魎戦記MADARA』に『ラグランジュポイント』も…の画像
ファミコン『魍魎戦記MADARA』(コナミ) (C)KONAMI 1990 (C)1990 SHO-U TAJIMA AND MADARA PROJECT/YUKIHIRO KURODA/KADOKAWA SHOTEN

 近年、Nintendo Switchなどの現行ゲームハードで、ファミコンやスーパーファミコン、初代プレイステーション時代のゲームがリメイクされ、当時のファンを喜ばせています。

 とはいえ、リメイクされるのは人気シリーズであることが多く、当時のプレイヤーならば「あのゲームが遊びたいのに……」と胸のうちに秘めている、リメイク希望ソフトがそれぞれあることでしょう。

 ですが、いくら待ってもシリーズ化されず、現行のハードでリメイクに期待するのはちょっと難しそうなのが現実です。そこで今回は、筆者が個人的にファミコン時代に夢中になった、リメイクを熱望する名作ソフトを振り返ってみたいと思います。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■高速移動できる神ゲー! 三国志がRPGになった傑作『天地を喰らう』

 最初に紹介したいのは、1989年にカプコンから発売されたファミコン版『天地を喰らう』です。本作は、本宮ひろし先生が『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載していた漫画が原作で、「三国志演義」をベースにしたファンタジー要素のある作品でした。

 漫画は董卓征伐あたりで終わってしまいましたが、本作では劉備が蜀を得て天下統一するまでを描いています。つまり、そのストーリーの大半はオリジナルで、登場する武将の多くもゲームのために新たに描き起こされているという、ある意味豪華なゲームでした。

 「三国志」をモチーフにしたゲームといえば、思い浮かぶのはコーエーの歴史シミュレーションですが、なんと『天地を喰らう』はRPG。しかしこれが非常に面白く、一時は品薄になって店頭から消えたほど。さらに1991年には続編となる『天地を喰らうII 諸葛孔明伝』がリリースされるほどの人気を得ました。

 三国志演義をRPGに仕立て直したストーリーの面白さ、HPを兵数とみなす斬新なバトルシステム、そして神曲ぞろいのサウンドなど見どころが満載。そして個人的に素晴らしいと感じたのは、フィールドの移動速度です。

 『ドラクエ』などのRPGと比べると、『天地を喰らう』の移動速度はその倍くらいに速く、いうなれば「ダッシュ状態が標準」という状態。このストレスフリーの快適さを味わったとき「神ゲーか!」と感動しました。

 ファミコン版『天地を喰らう』は2作品が発売されたきりで、ゲームボーイ版(1のみ)、携帯アプリ版が出た以外、リメイクなどは皆無。版権的な理由で難しいのかと思いきや、2021年に配信された『カプコンアーケードスタジアム』にはアーケード版『天地を喰らう』が収録されているので、ファミコン版のファンとしては淡い期待を抱き続けたいところです。

 ちなみに、アーケード版『天地を喰らう』はファミコン版とはゲームジャンル自体が異なり、ベルトスクロールアクションとなっています。

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