来年2026年で発売40周年を迎える『ドラゴンクエスト』シリーズ(スクウェア・エニックス)。2025年10月30日にはHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』が発売されたばかりで、2026年2月5日には『ドラゴンクエストVII Reimagined』の発売も控えている。
そんな『ドラクエ』シリーズでは、初代『ドラゴンクエスト』の「ゆうべはおたのしみでしたね」の名ゼリフから始まり、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』では結婚相手を選択する場面が登場。「ビアンカとフローラ」のどちらと結婚するかが議論になるなど、恋愛要素が話題になった。
しかし『ドラクエ』シリーズには、それ以外にも主人公の恋愛がフィーチャーされる場面は存在する。そこで歴代作品をプレイしてきた筆者のなかで、とくに印象に残っている恋愛にまつわる部分を振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■時代を先取りしたツンデレヒロインたち
『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のヒロインといえば、頭巾がトレードマークの魔法使い「マリベル」が筆頭ではないだろうか。
この『ドラクエ7』は仲間との会話が可能になった初めてのドラクエでもある。シリーズの生みの親である堀井雄二氏は、自身の著書『ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとはなにごとだ!』(スクウェア・エニックス)の中で、「せっかく話せるのだから、口の悪い子のほうが面白いとマリベルの性格を決めた」と語っている。
ゲーム内でマリベルはワガママなお嬢様として描かれ、毒舌を吐くことも多い。幼なじみである主人公に対しても、キツい態度や言動を見せていた。
しかし、普段はツンツンとしたそっけない態度をとるマリベルだが、時折しおらしい面を披露してくれる。プレイステーション版『ドラクエ7』が発売された2000年当時は、まだ「ツンデレ」という言葉は存在しなかったが、マリベルは紛れもなくツンデレキャラを体現していた。
とくに主人公にデレた「あたしが死んだら、◯◯はあたしのことずっとおぼえててくれる?」という彼女のセリフにノックアウトされたプレイヤーも多いはず。
マリベルと主人公のあいだに明確な恋愛描写があるわけではないが、主人公に対する彼女の好意がそこはかとなく感じられる場面は他にもあり、そんなマリベルに魅了されたプレイヤーは多いのではないだろうか。
またツンデレといえば『ドラクエ5』をリメイクしたDS版から登場した「デボラ」の存在も忘れられない。彼女はフローラの姉であり、ビアンカ、フローラと合わせて3人目の結婚相手候補となる人物だ。
デボラの性格は妹のフローラとは正反対で、かなりワガママで言動もキツイ。主人公を見て「小魚みたいな顔」と評するシーンもあった。
しかしその直後、彼女は「小魚は身体にいいし嫌いじゃないわよ」と続けており、主人公に対して悪意はなく、実は褒め言葉として言っていることが分かるのだ。
そんなデボラと結婚したあと、彼女がデレるシーンの破壊力はすさまじかった。
特に「ミルドラース」との決戦直前にデボラに話しかけると、彼女が秘めていた想いを聞くことができる。そのセリフが「あんたが物好きで良かった。ふつうなら私を妻になんかしないわ。あの時、選んでくれて本当にありがとう」というもの。あまりにも真っすぐな愛情と感謝の言葉をダイレクトに伝えてくれて、普段とのギャップに驚かされる。


